平成27年4月5日〜5月31日、善光寺(長野県長野市)では、七年に一度の盛儀『善光寺御開帳』が行なわれました。
御開帳を記念していずれの宗派にも属さないという善光寺に因んだ、不思議なトリックをご紹介。
今回はそのパート2です。
TRICK3 山門に隠されたトリックを見抜け
参道を歩くと、最初に見上げる壮大な建築物が1750(寛延3)年建立の山門(三門)で国の重要文化財。
屋根は平成14年〜19年にかけて行なわれた平成大修理で、建立当時と同じ椹(サワラ)の板を用いた栩葺き(とちぶき)に復原されています。
ここで注目が山門正面の楼上に掲げられた扁額。輪王寺宮公遵法親王の筆によるものです。
これが通称「鳩文字の額」。
善光寺事務局によれば、「3文字の中に鳩が5羽隠されています」。
じっくりと額をご覧になれば、すぐお気づきになるかと思いますが、書き順でいえば、善の文字の1・2画目、光の文字の2・3画目、寺の寸の部分の点にあたる部分が「鳩がとまっているように見える」のです。
しかも善の文字は、全体を見ると「牛の顔に見えるようにデザインされている」のだとか。
「牛に引かれて善光寺参り」の信仰を今に伝えています。
そしてこの額、大きさは、畳3畳分もあるのです。
【牛に引かれて善光寺参り】
昔々、信心がなく強欲な老婆が、さらしていた布を角にかけて走っていく牛を追いかけ、ついに善光寺に至り、それがきっかけで度々善光寺に参詣するようになったという話から、
「他人の誘いや思いがけない偶然で、よい方面に導かれることのたとえ」。
TRICK4 山門からは少し屈んで本堂を見よ!
山門から眺める国宝・善光寺本堂はまさに荘厳のひとことに尽きます。
山門は本堂建築の44年後に建てられましたが、この時、本堂がより荘厳に感じられるように視覚的な演出が組み込まれました。
まずは山門石段下から本堂を眺めると、「本堂が浮き上がって見える」よう、山門基壇を参拝者の目線の高さに設定しています。
本堂イコール極楽浄土というイメージを、デザイン的に完成されたスタイルで、脳裏に焼き付けるような、心憎い設計なのです。
さらに、山門の真ん中に立って、じっくりと本堂を眺めてみてください。
山門の柱と梁(はり)が創出する「額縁」に本堂がスッポリと収まって見えます。
しかも本堂と山門との間の空間が左・右・上で均等に(下のイラスト参照)。
現代人の目線だと実は本堂上の空間が少し詰まっているはず。
なぜなら、山門建築時の日本人の平均身長は150cmほど。
設計上の計算より現代人の背が高いため、少し膝を折って「江戸時代の目線」で本堂を眺めてください。
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