50‰(パーミル=1000mあたりの高度差)の急勾配がある高野線山岳区間への直通運転に対応する車両として昭和33年〜39年に新製されたのが「ズームカー」と通称された南海21000系電車。南海電鉄では平成9年まで使用されましたが、現在は、大井川鐵道でのみ余生を送る姿を見ることができます。
南海電鉄からやってきた「ズームカー」が現役で活躍
私鉄のなかでは「往年の名車両」といえるのが南海電鉄の「ズームカー」(南海21000系電車)。
高野線への直通急行として活躍した車両で、先頭部分は湘南型と呼ばれる前面2枚窓非貫通型。
その一部が廃車とならずに、大井川鐵道と一畑電気鉄道に譲渡されましたが、一畑電気鉄道(3000系電車として運用)は、平成29年1月22日の『さよならイベント』をもって運行を終了したため、現役は、大井川鐵道のみとなっているのです。
扉間転換クロスシート車の第1・2編成の先頭車4両(モハ21001〜モハ21004)は、大井川鐵道に譲渡され、ワンマン運転化改造などが施されて運用(内部は車端部を除いてクロスシート)。
2両編成(21001+21002、21003+21004)が2本、普通電車として運用されています。
もともと南海電鉄高野山線の高野下駅〜極楽橋駅間は山岳区間に対応するように製造されているため、 大井川鐵道大井川本線の最大勾配22.0‰は、難なくこなしています。
大井川鐵道大井川本線では、きかんしゃトーマス号、SL急行「かわね路号」、EL急行などのほか、南海電鉄「ズームカー」(21000系)、近畿日本鉄道の特急形車両(近鉄電車16000系統、「モハ16003+クハ16103」の第3編成)、東京急行電鉄の通勤形電車(東急電車7200系)が毎日ローテーションして普通電車で使用されています。
残念なのは、整備の都合上事前の公表が行なわれないため、実際に行ってみなければ、運用がわからないことです。
「座席のカバーや吊革など、最新型の電車とは違った乗り心地をお楽しみください」(大井川鐵道)とのことで、まさに昭和レトロの鉄道旅行が楽しめる場所となっているのです。
ちなみに、ズームカーという名の由来は、広範囲で活躍できるという意味からカメラのズームレンズに例えられた、あるいは在来の車両よりも優れていた加速性能や急勾配を力強く上る様子が航空機の「ズーム上昇」(zoom climb)に例えたからともいわれ、定かでありません。
南海電鉄の「ズームカー」が大井川鐵道で活躍中! | |
関連HP | 大井川鐵道公式ホームページ |
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