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村上社

村上社

愛知県名古屋市南区楠町にある『万葉集』に詠まれた年魚市潟(あゆちがた)を見下ろす高台にある小さな神社が村上社。境内にある幹回り10.8m、樹高20mにおよぶ楠木の大木は樹齢1000年以上、鎌倉時代には街道の道標にもなっていたと伝わっています。

巨大なクスノキは灯台の役割を果たした!

往時には呼続あたりまで浜で、鳴海(なるみ)と桜の地を結ぶ、船人の目印にもなっていたと伝えられています。
境内には年魚市潟を歌った『万葉集』巻三、高市黒人(たけちのくろひと=太上天皇三河国行幸に従駕して旅先で歌を詠んでいます)の歌碑「桜田へ 鶴(たづ)鳴き渡る 年魚市潟 潮干にけらし 鶴(たづ)鳴き渡る」(通訳:桜田の方へ、鶴が鳴いて渡ってゆく。年魚市潟は潮が引いたのであるらしい。鶴が干潟の上を鳴きながら渡ってゆく)も立ち、 名鉄本笠寺駅(もとかさでらえき)を起点とする名古屋市の史跡散策路『桜田勝景と古墳めぐり』(全長4.2km)コースも整備されています。
高市黒人の万葉歌は、史跡散策路『桜田勝景と古墳めぐり』途中の桜田八幡社(桜田勝景碑/村上社から徒歩3分ほど)にもあり、一帯の高台で詠まれただろうと推測されています(村上社は、桜田八幡社の飛地境内地)。

祭神は、村上源氏の祖・村上天皇(由来などの詳細は不詳)。
10世紀頃、村上天皇を祀って創建、クスノキが植栽されたのかもしれません。

鎌倉時代に鳴海から年魚市潟(平安時代以降には鳴海潟)を渡る方法は、古鳴海八幡社(緑区鳴海町嫁ヶ茶屋)から笠寺(現在の笠寺観音あたり)へ渡る「下の道」、野並八劔社(天白区野並3丁目)から村上社に渡る「中の道」、野並八劔社からは鳥栖八剱社(とりすはっけんしゃ/南区鳥栖2丁目)・鳥栖八剱社古墳に渡る「上の道」の3つの道があったことがわかっています。

鳴海から村上社の楠を目印に渡った鎌倉街道は、そのまま西に通じ呼続(よびつぎ)から再び海となったので渡船で熱田神宮へと渡っています。
源義経もこの道を通ったと考えることができる当時の幹線道でした。

ちなみに本笠寺駅を起点とする『桜田勝景と古墳めぐり』の歴史散策路は、村上社から500mほど北にある鳥栖八剱社の古墳へと向かうのが順路になっています。

『尾張名所図会』に記載される桜田勝景

『桜田勝景と古墳めぐり』コースタイム

【START】名鉄本笠寺駅〜750m・10分〜(1)見晴台考古資料館・見晴台遺跡〜400m・5分〜(2)桜田貝塚跡・桜田勝景跡(桜田八幡社)〜180m・3分〜(3)村上社のクスノキ〜600m・8分〜(4)鳥栖八剱社・鳥栖八剱社古墳〜150m・2分〜(5)成道寺石仏〜170m・2分〜(6)鳥栖のヒイラギ〜90m・1分〜(7)新屋敷西城跡・医王寺〜210m・3分〜(8)鳥栖神明社古墳〜650m・9分〜(9)塩付街道(桜駅前)〜150m・2分〜(10)東宝寺桜村固本碑〜60m・1分〜(11)桜神明社・桜神明社古墳〜750m・9分〜名鉄本笠寺駅【GOAL】

村上社
名称 村上社/むらかみしゃ
所在地 愛知県名古屋市南区楠町17
関連HP 名古屋市公式ホームページ
電車・バスで 名鉄本笠寺駅から徒歩15分、桜駅から徒歩15分
ドライブで 名古屋高速大高線笠寺ランプから北へ1kmの桜本町4交差点を右折、600m
駐車場 なし
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

桜田八幡社(桜田勝景跡)

愛知県名古屋市南区呼続町八幡西にある八幡社が桜田八幡社。名鉄本笠寺駅を起点とする名古屋市の史跡散策路『桜田勝景と古墳めぐり』コースの途中にある神社で、境内には『万葉集』にも詠まれた「年魚市潟」(あゆちがた)の景観を歌った地を示す桜田勝景跡の

名古屋市見晴台考古資料館

名古屋市南区見晴町の笠寺公園(見晴台遺跡)にあるミュージアムが名古屋市見晴台考古資料館。『万葉集』でも詠まれている年魚市潟(あゆちがた)を見下ろす笠寺の高台にあり、笠寺公園と整備される高台は、旧石器時代から室町時代にかけての遺跡です。周辺は

 

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