毎年8月2日〜8月7日に開催される『青森ねぶた祭』。『秋田竿燈まつり』、『仙台七夕』とともに東北三大祭りにも数えられるビッグイベントですが、その時期に旅行者が頭を悩ませるのが青森市周辺の宿泊料金の高騰。青森市内のホテルでは通常の6倍という場合もあって、地元でも問題視する向きも。
8月上旬〜お盆、青森周辺の宿は満室状態が継続

『青森ねぶた祭』シーズン、青森市街地や浅虫温泉など大型ホテル・旅館は、旅行代理店が前年の夏に翌年の『青森ねぶた祭』期間中の部屋をすでに抑えてしまっています。
残されるのは、団体を受け入れないシティホテルや中小の旅館などですが、すでに開催の2ヶ月前にはすでにキャンセルが出ればすぐ埋まるほどで、断るのが大変といった感じです。
『青森ねぶた祭』期間中はセミダブルで5万円超えと通常の6倍もの料金設定という強気のホテルも。
青森県内では『青森ねぶた祭』(8月2日〜8月7日)のほかにも、『八戸三社大祭』(はちのへさんしゃたいさい/7月31日〜8月4日)、『弘前ねぷたまつり』(8月1日~8月7日)、五所川原立佞武多(ごしょがわらたちねぷた/8月4日〜8月8日)など夏祭りが集中。
さらには花火大会を加えて、8月上旬は宿がもっとも取りづらい時期となります。
十和田湖畔のリゾートホテルでも、8月上旬〜お盆は、7月下旬に比べると倍額は当たり前という料金設定で、ツイン朝食付き2名で4万円オーバーといった感じですが、ほぼ満室で空きなし。
青森市内はさらに強気で、以前はせいぜい1.5倍くらいのアップだったのが、4倍というのもザラという状況に。
東京などに本社を構えるホテルが、強気の設定を指示し、全体に価格が高くなっているとのことですが(常に需要がある都会のホテルの変動性料金を地方に持ち込んだかたち)、地元の観光関係者も「人気がある証拠。価格は需要に応じて高くなるもの」と強気の姿勢を崩していません。
観光業界やホテルは、バブル期に「需要があるから」価格を吊り上げ、バブル崩壊時に痛い目にあった経験があります。
箱根などの有名観光地でも、バブル期に値上げした際、「それまで泊まっていた常連が逃げてしまう」という事態も発生。
バブル崩壊後に宿泊料金を下げても常連は戻ってこなかった宿も多数あったのです。
「良質で常連に支えられる宿は、通年一定料金が基本で変化が少ない」、「祭りに甘えた便乗商法」、「団体旅行がメインで、個人客が逃げてしまう」という考え方もあり、宿泊費が高いと飲食を節約し、その結果、地域経済への波及効果も減少というマイナス面も危惧されます。
『青森ねぶた祭』が伝統に裏付けられた庶民参加の祭りではなく、単なる商業イベントになってしまっているとの批判も。
かつて観光で潤う離島では、島に船が付くと、土産の値札を付け替えるなどしていた時代もありましたが、今では悪しき風習として、通年一定の値段に。
コスパが重視される時代に、「需要があるから値段を上げる」という姿勢で、「青森離れ」はないのでしょうか。

『青森ねぶた祭』シーズン、青森市の宿泊料金「ねぶた価格」で最大6倍に! | |
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