千葉県茂原市には、太平洋戦争が勃発する直前の昭和16年9月、関東防衛の一翼を担う飛行場として茂原海軍航空基地の建設が開始。88.7ha、東京ドーム19個分という巨大な敷地の航空基地が誕生しました。遺構はほとんどありませんが、飛行機を隠したコンクリート造りの3号掩体壕(さんごうえんたいごう)は、見学が可能。
茂原市の掩体壕は10基が現存、公開されるのは1基のみ
掩体壕とは、太平洋戦争が激化、本土空襲が始まる中、滑走路横に築かれた頑強な飛行機の格納施設。
ここに戦闘機などを隠し、土などでカモフラージュ、さらに木製の飛行機(デコイ)などを設置してアメリカ軍の偵察機の目を避け、爆撃による被害をなるべく小さくしようとしたのです。
茂原海軍航空基地の掩体壕は20基ほどが造られたといわれ、10基ほどが現存。
平成6年に実施された茂原市教育委員会の調査では、現存10基、消滅したものが6基の計16基となっています。
掩体壕の築造方法は、まず、完成後空間となる部分に土砂を固め、その上に「むしろ」や板を敷き、さらに金網や鉄筋を張ってコンクリートを流して込みます。
コンクリートが乾いたところで、最初に固めた土を取り除くと完成です。
茂原海軍航空基地の掩体壕は、格納する機種によって異なった4種類のものが築造され、現在茂原市が管理する3号掩体壕はそのなかでも最大級のサイズ。
総面積356平米、飛行機を格納した内部の空間部分が286平米もあり、零戦を2機格納できました。
掩体壕の上には盛り土をして芝を張ったり、木や竹を植えて偽装を試みましたが、上空から偵察機が見ると、簡単に見分けがついたとのこと。
現存する10基は、すべて民有地にあり、個人で壊すには多くの経費が掛かるために農業倉庫や物置として転用されているのがほとんどです。
このうち3号掩体壕は、平成7年7月、戦後50周年事業の一環として茂原市が保存を決め、土地を地主から借り上げるという形で管理しています。
ちなみに千葉県に現存する掩体壕は、館山市の館山海軍航空隊跡と旭市・匝瑳市淹体壕群(香取海軍航空基地跡)などで、貴重な戦争遺跡となっています。
茂原海軍航空基地跡・3号掩体壕 | |
名称 | 茂原海軍航空基地跡・3号掩体壕/もばらかいぐんこうくうきちあと・さんごうえんたいごう |
所在地 | 千葉県茂原市本小轡 |
関連HP | 茂原市公式ホームページ |
電車・バスで | JR新茂原駅から徒歩約20分 |
駐車場 | なし |
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