異色の「2車体連接車」、江ノ電300形は「動く保存車両」

江ノ電300形

江ノ島電鉄でもっともレトロな現役車両が、江ノ電300形。昭和31年〜昭和43年にかけて合計6編成12両が製造されたうち、現在現役で活躍するのが305号⾞-355号⾞の1編成2両のみ。江ノ電カラーをそのまま維持し、床はなんと板張り。江ノ電の顔、そして一番の人気車両となっています。

御年65歳、まだまだ現役で活躍中!

江ノ電300形

江ノ電は、道路併用区間もあるため戦前は軌道法に基づく軌道線、つまりは路面電車の扱いでしたが、戦後、腰越駅〜七里ヶ浜駅間の併用軌道の専用軌道化、ホームの嵩上げなどを経て、2車体連接車の300形、初代500形が登場しました。

プラットホーム嵩上げ工事終了後に初めて導入された江ノ電初の「鉄道車両」が300形で、現役で走る305号⾞-355号⾞は、京王デハ2000形(旧玉南電気鉄道1形)の台枠を使用した車両ですが、車体は東横車輛工業(現・東急テクノシステム)で製造した300形では唯一といえる新造車両(他は改造車)。

前面の窓も広く取られ、横の窓は、国鉄キハ10系などに採用され、当時流行していた2段窓の「バス窓」(スタンディー・ウィンドウ=立ち客のための窓)を採用。
この「バス窓」自体も見る機会が少なくなっていて、注目に値します。

昭和4年に製造された101・102号車を、昭和32年に改造してデビューした302号車-352号車は、最期まで冷房化されることなく平成9年に引退。
山梨県南巨摩群富沢町にあるオートキャンプ場「ターキーズハウス」(江ノ電に泊まれるキャンプ場)でバンガローとなって余生を送っています。

昭和35年に製造された305号⾞-355号⾞は冷房化、駆動装置のカルダン式化、主電動機の変更など新性能化されて現役で活躍中。
システムや性能は後続の形式と同レベルなので、まだまだ江ノ電の顔として活躍を続けることでしょう。

江ノ電300形
「バス窓」にも注目
異色の「2車体連接車」、江ノ電300形は「動く保存車両」
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