本庄の大クス

クスノキとしては全国3位、すべての樹種をあわせても全国4位という巨大なクスノキが、福岡県築上町(ちくじょうまち)の本庄の大クス(本庄の大楠)。環境省の調査では、幹周りは21.0m。日本一という「蒲生の大クス」(鹿児島県姶良市)と見比べても遜色のない枝ぶり、立派さ、存在感を誇っています。

景行天皇が植えたという伝説も残る大楠

大空洞があるのは、明治34年に、空洞で寝泊まりしていた人の失火で燃えてしまったからとか。
そんな火災にもめげずに、現代に樹勢を誇っています。

現在5本の支柱に支えられていますが、支柱の食込みなど問題も生まれ、支柱の一部取り替え、土壌改良などの保護工事が継続して行なわれています。

『続左丞抄』には、1156(保元元)年、桑田郷(本庄の大楠周辺)で、宇佐八幡宮の式年遷宮(建て替え)による造営開始の『御杣始』(みそまはじめ)が行なわれた記録があるので、一帯が宇佐八幡宮杣山(そまやま)だったことがわかります。
宇佐八幡宮の式年遷宮は、880(元慶4)年の太政官符によって創始されたと推測できます。

本庄の大クスは、現在、大楠神社の境内入口にありますが、1699(元禄12)年に記された『大楠小楠宮社記』によれば、景行天皇が九州平定のため京都郡御所ケ谷(行橋市南西部/現在7世紀築城の御所ヶ谷神籠石が残されています)に仮宮を造営する際、南へ三里の地にクスノキを1本植えたという伝承が記され、そのクスノキが「本庄の大クス」という説もあります。

推定樹齢が1900年という数字は、『日本書紀』に記されるこの景行天皇の熊襲・土蜘蛛征伐の神話から逆算したもの。
景行天皇は、日本武尊(やまとたけるのみこと)の父。
その実在を疑うこともできますが、仮に存在を仮定すれば、その年代は4世紀前半くらいということに。
というわけで、樹齢も1700年と推測できます。

本庄の大クス
名称本庄の大クス/ほんじょうのおおくす
所在地福岡県築上郡築上町本庄1641-1
関連HP築上町公式ホームページ
電車・バスでJR築上駅から太陽交通バス寒田線で19分、下本庄下車、徒歩5分
ドライブで東九州自動車道築城ICから約7.5km
駐車場30台/無料
問い合わせ築上町商工課 TEL:0930-52-0001
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

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