現存12天守を、「望楼型天守」と「層塔型天守」に大別

織田信長が安土城を築城した際に築いた日本初となる天守(天主)は、展望塔ともいえる望楼型天主でしたが、関ヶ原合戦後には、築城の名手・藤堂高虎(とうどうたかとら)が近世型で地震や台風にも強いという層塔型天守を生み出しています。現存する12の天守を望楼型、層塔型に大別していました。

望楼型天守 6天守

丸岡城|福井県

所在地:福井県坂井市丸岡町霞町1
建築年:寛永年間(1624年〜1644年)と推定
備考:昭和23年に福井大震災により倒壊しましたが修復され、国の重要文化財に指定
2025年12月からは耐震化工事もスタート

丸岡城(霞ヶ城公園)

柴田勝家の甥・柴田勝豊(しばたかつとよ)が天正4年(1576年)、北ノ庄城(福井城)の支城として築城した城で、藩政時代には丸岡藩の政庁となりました。天守は江戸時代初期のままの状態で現存し、現存する日本最古級の天守となっています。「日本100

犬山城|愛知県

所在地:愛知県犬山市犬山北古券65-2
建築年:現在の姿になったのは元和6年(1620年)の天守の大改修で
備考:天守が建てられた年代については天文年間説、慶長年間説などがあり定かでありません

国宝犬山城

姫路城、彦根城、松本城、松江城と並ぶ国宝の天守が犬山城。天文6年(1537年)、鵜沼を対岸に木曽川を眼下にする要衝に織田与治郎信康(織田信長の叔父)が築いた天守は現存する日本最古の様式。木之下城(現・愛知県犬山市犬山愛宕・愛宕神社)から城郭

彦根城|滋賀県

所在地:滋賀県彦根市金亀町1-15
建築年:慶長11年(1606年)
備考:徳川幕府の重鎮・井伊家の居城だけに諸大名参加の天下普請(てんかぶしん)で築城
建築年代も明らかで国宝に

彦根城・天守

彦根城・天守

滋賀県彦根市、国宝に指定される彦根城・天守は、牛蒡積み(ごぼうづみ)と呼ばれる一見雑に見えるが実は強固という石垣の上に三重の天守をのせたもの。天守完成の慶長11年(1606年)には、彦根藩はまだ18万石。石高に合わせたやや小ぶりの天守となっ

姫路城|兵庫県

所在地:兵庫県姫路市本町68
建築年:現存する天守は、慶長14年(1609年)完成
備考:壁面は全体が白漆喰総塗籠(しろしっくいそうぬりごめ)の大壁造で造られており、千鳥破風、大千鳥破風、唐破風が組み合わされ、調和のとれた美しい天守

姫路城・天守

世界文化遺産に登録される姫路城のシンボル的な存在が天守丸にそびえる連立した天守群。国内に現存する12の現存天守の一つが姫路城の天守。しかも現存する天守のなかで最大の規模を誇り、大天守と3重の小天守3基(東小天守・西小天守・乾小天守)、さらに

松江城|島根県

所在地:島根県松江市殿町1-5
建築年:慶長16年(1611年)
備考:元文3年(1738年)〜寛保3年(1743年)に大改修
屋根の鯱(しゃちほこ)は、現存する木造の鯱では日本で最大

松江城・天守

【完全攻略ガイド】 松江城・天守(国宝)

島根県松江市殿町にある松江城の天守は、全国に現存する12天守のひとつで、国内に5つしかない国宝天守のひとつ。慶長16年(1611年)、堀尾吉晴が5年の歳月をかけて完成。12天守のうち、天守の大きさ(平面規模)は2位、高さ(約30m)は3位、

高知城|高知県

所在地:高知県高知市丸ノ内1-2-1
建築年:寛延2年(1749年)の再建
備考:2重の入母屋造りの屋根の上に2重櫓の望楼を載せた四重五階天守は、国の重要文化財

高知城・天守

高知城の本丸にそびえる天守は現存12天守(弘前城、国宝松本城、丸岡城、国宝犬山城、国宝彦根城、国宝姫路城、国宝松江城、備中松山城、丸亀城、松山城、宇和島城、高知城)のひとつ。望楼型天守の典型で、外観は4重、内部は5階建て。2重の入母屋造りの

層塔型天守 6天守

弘前城|青森県

所在地:青森県弘前市下白銀町弘前公園
建築年:文化7年(1810年)の再建
備考:本丸天守台に建つ3層3階の御三階櫓で、9代藩主・津軽寧親(つがるやすちか)の再建

弘前城

津軽藩の2代藩主・津軽信牧(つがるのぶひら)が1611(慶長16)年に築いた城が弘前城。一帯は弘前公園として整備されゴールデンウィーク前後には5000本の桜が咲き、「日本さくら名所100選」にも選定。弘前城は全国でも珍しい3重の堀を巡らし、

松本城|長野県

所在地:長野県松本市丸の内4-1
建築年:文禄2年(1593年)〜文禄3年(1594年)に望楼型5重6階として改築
さらに寛永10年(1633年)、層塔型5重6階に改築
備考:内堀の幅も、当時の鉄砲が天守閣側から届く距離(55m〜60m)に

国宝松本城

5層天守閣としては日本最古の城。築城は1504(永生元)年ですが、5層天守閣となったのは1593〜1594(文禄2〜3)年のこと。鉄砲や矢を放つ狭間(さま)も117ヶ所も設けられ、実戦を意識した設計であることがよくわかります。本丸、二の丸一

備中松山城|岡山県

所在地:岡山県高梁市内山下1
建築年:天和元年〜天和3年(1681年~1683年)
備考:標高430mの小松山の最高所に建つのが天守で、国の重要文化財
現存12天守のうち、唯一の山城

備中松山城・天守

備中松山城・天守

備中松山城は、大松山・天神の丸・小松山・前山(下太鼓丸)という4つの峰からなる臥牛山山上に建つ山城。本丸は標高430mの小松山に位置し、その最高所に建つのが天守。二重櫓と同様に天和元年〜天和3年(1681年~1683年)の建築で、国の重要文

丸亀城|香川県

所在地:香川県丸亀市一番丁
建築年:寛永20年~万治3年(1643年~1660年)頃
備考:京極高和(きょうごくたかかず)が6万石で入封した時代の天守
小型の御三階櫓で、現存する12天守のなかで「最小の天守」

丸亀城・天守

丸亀市のシンボルともなる丸亀城は、1597(慶長2)年、豊臣秀吉の重臣・生駒親正(いこまちかまさ)が、西讃防備のために、高松城の支城として5年の歳月を掛けて築いた城。三重三層入母屋造の天守閣は、日本に現存する12の木造天守のひとつで、国の重

松山城|愛媛県

所在地:愛媛県松山市丸之内1
建築年:安政元年(1854年)築の3代目
備考:創建当初は五重の天守だったと伝わりますが3代藩主・松平定行(徳川家康の甥)の治世に現在の三重に改築

松山城・天守

往時の天守が残る全国現存12天守のひとつが松山城・天守で国の重要文化財。松山城は津山城(岡山県津山市)、姫路城と並び「日本三大平山城」に数えられますが、勝山(城山)山頂の本丸に位置するのが天守。創建当初は五重の天守だったと伝わりますが3代藩

宇和島城|愛媛県

所在地:愛媛県宇和島市丸之内1
建築年:寛文6年(1666年)頃
備考:伊達秀宗の子、伊達宗利が現存する天守を構築
幕末の万延元年(1860年)に大修理が行なわれています

宇和島城・天守

宇和島城・天守

愛媛県宇和島市にある、藩政時代に宇和島藩の藩庁だったのが、宇和島城。築城の名手・藤堂高虎(とうどうたかとら)が天守を築いたのが始まりですが、2代藩主・伊達宗利(だてむねとし)が大改修の際に、現在の天守を構築。江戸時代の天守が残る「現存12天

現存12天守を、「望楼型天守」と「層塔型天守」に大別
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望楼型天守・層塔型天守

【お城の基礎知識】 「望楼型天守」と「層塔型天守」の違いとは!? 

往時の天守が現存し、国宝、国の重要文化財に指定されるのは12天守。それ以外の多くの天守は、コンクリートや木造でおもに外観を復元した観光用の復興天守です。そんな天守ですが、実は天守が築かれた初期スタイルの「望楼型天守」と、天守が普及した後の「

国宝12天守

現存12天守に登城しよう!

現在、国内に戦国末期から江戸時代の木造天守が残るのは12ヶ所。「現存12天守」と呼ばれています。北から、弘前城、国宝松本城、丸岡城、国宝犬山城、国宝彦根城、国宝姫路城、国宝松江城、備中松山城、丸亀城、松山城、宇和島城、高知城の12城で、四国

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