岐阜県大野郡白川村荻町、茅葺きの古い合掌家屋が59棟が現存し、世界文化遺産「白川郷・五箇山の合掌造り集落」に登録された白川郷で、公開された国指定の重要文化財が和田家。江戸中期~後期と推測される合掌造り家屋は、主屋が一重・3階、桁行12間(約22m)、梁間7間(約13m)で白川村では最大級の規模。
白川郷・荻町合掌集落で最大規模を誇る合掌造り
合掌造りの建物だけでなく、周辺の庭や生垣、田畑、水路を含め、昔のままに保存され、今も暮らしながら、1階と2階部分が公開されています。
戦国時代の天正元年(1573年)以来、代々、弥右衛門の名を継ぐ和田家。
江戸時代には庄屋を務め、荻町から越中(えっちゅう=現・富山県)の間の関所、牛首口留番所の役人を兼ね、さらに荻町村の特産・焔硝(えんしょう=黒色火薬の原料となる硝石、硝酸カリウム)の取引によって財を成しました。
市町村制が敷かれた明治21年には、当主が初代白川村長に就任した名家で、今も和田家が合掌造りの民家を大切に維持しています。
茅葺屋根の維持のため、囲炉裏の火は年中欠かさず入れられ、囲炉裏周辺は絶好の撮影ポイント。
囲炉裏から立ち昇る煙は、茅や木材をコーティングして防菌、防虫に優れた効果を発揮したのです。
つまりは、囲炉裏の火を絶やさないことで、日常的な燻煙(くんえん)作業を行なうことになるのです。
和田家と焔硝の生産
元禄年間(1688年~1703年)から和田家では焔硝の製造が行なわれていたことがわかっており、天保14年(1843年)、荻町村和田弥右衛門焔硝製造の免許申請に対し高山役所から免許鑑札が下付されるという記録が残されています。
当時の火薬は黒色火薬で、焔硝(硝石)に硫黄と木炭を混ぜてつくられていました。
萩町村では牛肥と土に混ぜ、土中の硝化バクテリアの機能を使って硝石に変化させるもので、当時第一級の硝石を産した越中五箇山から伝わったもの。
雪深い白川郷では、屋内生産が可能な養蚕(ようさん)とともに焔硝製造は大切な基幹産業だったのです。
国指定重要文化財 和田家 | |
名称 | 国指定重要文化財 和田家/くにしていじゅうようぶんかざい わだけ |
所在地 | 岐阜県大野郡白川村荻町997 |
関連HP | 白川郷観光協会公式ホームページ |
電車・バスで | JR高山駅から濃飛バス(予約制)白川郷行きで2時間、せせらぎ公園下車、徒歩10分。JR高岡駅より加越能バス五箇山線で2時間30分、荻町合掌集落下車、徒歩5分 |
ドライブで | 東海北陸自動車道白川郷ICから約4.5km。または、荘川ICから約34.5kmでせせらぎ公園駐車場 |
駐車場 | せせらぎ公園駐車場(200台/有料)・みだしま公園臨時駐車場(120台/有料)・寺尾臨時駐車場(600台/有料) |
問い合わせ | 国指定重要文化財 和田家 TEL:05769-6-1058/FAX:05769-6-1058 |
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