路面電車とラピッド・トランジット(本格的な地下鉄など)の中間に位置づけられるのが、ライトレール(LRT)。国内では50万都市の宇都宮ライトレールが有名です。かつて路面電車が走っていた40万都市の岐阜市にも、岐阜県の江崎禎英知事が打ち出した岐阜LRT構想があり、注目を集めています。
路面電車の走った岐阜市街に、次世代型路面電車が!?
2005年3月31日まで、名鉄岐阜市内線として路面電車の運行がありました。
名鉄岐阜市内線は、岐阜駅前駅〜長良北町駅の本線と、途中の徹明町駅から忠節駅までの忠節支線があり、ともに軌道(路面電車)の扱い。
全線がほぼ道路上を走る併用軌道でしたが、2両編成で、急行も走っていました。
中京圏にある岐阜市は、名古屋同様に車社会。
車の通行の邪魔という声も多く、しかも赤字に転落、さらに市内を走る名鉄バス、岐阜バスも赤字を抱えることで廃止となっています。
2023年8月26日に開業した宇都宮ライトレールは、国内では75年ぶりの路面電車の新規路線は、1948年4月10日、富山地方鉄道が地鉄高岡停留場方 伏木港駅(7.3 km)を開業させて以来、実に75年ぶりという開業。
渋滞対策のための大量輸送手段ということで、新交通システムが着目され、1994年秋に運転が始まったフランスのストラスブールLRT(世界初の次世代型路面電車=LRT)の成功もあって、LRT導入に踏み切ったもの。
費用の分担や事業の意義をめぐって栃木県と宇都宮市の対立、バス高速輸送システム(BRT)導入案の浮上、関東自動車の反対など紆余曲折がありましたが、結果的には成功を収めています。
宇都宮ライトレールの場合は、上下分離方式を採用し、宇都宮市・芳賀町が設備を保有し、宇都宮ライトレールが運行。
このスタイルをそのまま岐阜市周辺に当てはめると、岐阜市が設備を保有し、第三セクターの「岐阜ライトレール」(仮称)が運行を担うというスタイルになるということに。
人口的にもあまり変わらず、しかも車社会の栃木で成功というのは、岐阜市にとっては追い風。
江崎禎英知事(自民党、立憲民主党、公明党、国民民主党が推薦で、2025年1月に初当選)が主導する岐阜県の構想では、羽島市の東海道新幹線・岐阜羽島駅、名神高速道路・岐阜羽島ICと岐阜市の岐阜駅、東海環状自動車道・岐阜ICという広域の路線を想定していて、2035年を目指すとのことですが、地元では懐疑的な声もあってはたして実現するのかは、まだまだ五里霧中。
今後も宇都宮ライトレール同様に、紆余曲折があるものだと推測できますが、岐阜市内の活性化の切り札になるのかもしれません。
かつて路面電車が走った岐阜に、ライトレール(次世代型路面電車)計画が! | |
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