総社二子山古墳

遠見山古墳(前方後円墳/全長66m)、王山古墳(前方後円墳/全長72m)、愛宕山古墳(方墳/辺長55m)、宝塔山古墳(方墳/辺長60m/国史跡)、蛇穴山古墳(方墳/辺長39m/国史跡)とともに、総社古墳群を構成する全長90mの前方後円墳が総社二子山古墳。2ヶ所配された横穴式石室の工法が異なる異色の古墳です。

総社古墳群を形成する前方後円墳

総社二子山古墳は、前方部と後方部に一つずつ石室を持つ全国的にも珍しい古墳で、前方部の石室は、自然石を使用したもので、6世紀末に構築されたものと推測されています。
後円部石室は榛名山二ッ岳噴出の角閃石安山岩の切石を互目積みに。
なぜ2ヶ所の石室があるのかは定かでありませんが、群雄割拠の古代がそこにあったのかもしれません。

石室は江戸時代に開かれ、総社藩に届けられています。
頭椎太刀(かぶつちのたち=古墳時代後期の装飾付大刀で東海以東の出土が多い)や勾玉(まがたま)が出土し、東京国立博物館に所蔵、古墳も国の史跡になっています(国の史跡としての指定名称は「二子山古墳」)。
頭椎太刀の出土からも大和朝廷との関係が推測されています。

明治時代に陵墓の全国調査が太政官布告として出た際には、崇神天皇の第一皇子、豊城入彦命(上野毛、下野毛の始祖とも)の墓として申請されています。
江戸時代後期の公卿、冨小路貞直(1761年〜1837年)筆になる「豊城入彦命」と書かれた碑が立っていますが、6世紀末の築造では時代が合わないため、現在では大室古墳群の前二子古墳(6世紀初頭築造)が豊城入彦命の陵墓となっています。

総社古墳群

総社古墳群は、榛名山の裾野の末端に南北4kmにわたって5世紀後半〜7世紀後半に築かれた古墳群。
遠見山古墳→王山古墳(おうやまこふん)→王河原山古墳(現存せず)→総社二子山古墳→愛宕山古墳→宝塔山古墳(ほうとうざんこふん)→蛇穴山古墳(じゃけつざんこふん)の順で築かれたと推測されています。
総社古墳群の出土品や資料は、前橋市総社歴史資料館(前橋市総社町総社1584-1)に展示解説されています。

取材・画像協力/ググっとぐんま観光宣伝推進協議会

総社二子山古墳
名称総社二子山古墳/そうじゃふたごやまこふん
所在地群馬県前橋市総社町植野368
関連HP前橋市公式ホームページ
電車・バスでJR群馬総社駅から徒歩10分
ドライブで関越自動車道前橋ICから約6km
駐車場10台/無料
問い合わせ前橋市文化財保護課 TEL:027-280-6511
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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