2024年は9月17日(木)が中秋の名月。太陰太陽暦8月15日の夜に見る月のことで、平安時代に中国から日本に伝わったとされています。さてさてどうして中秋の名月に月見をするのは、単に気候的にぴったりということではありません。実は、月の上がる位置も重要な要素だったのです。
中秋の名月は、「中空の名月」で、色味も高さもバッチリ!
中秋の名月、イコール満月ではなく、2024年は9月17日が中秋の名月、9月18日が満月と日付が1日ずれています。
太陰太陽暦では、新月(朔)の瞬間を含む日が、その月の朔日(ついたち)。
国立天文台によれば、2024年は9月3日(新月の瞬間は10:56)が太陰太陽暦の8月1日、9月17日が太陰太陽暦での8月15日ということになるのだとか。
天文学的な意味での満月は、「地球から見て太陽と反対方向になった瞬間の月」(国立天文台)ということで、2024年は9月18日11:34となります。
次に中秋の名月と満月が同じ日付になるのは2030年とのこと(詳細は立天文台暦計算室ウェブサイトの「名月必ずしも満月ならず」を参照)。
太陰太陽暦の9月13日は「十三夜」(じゅうさんや=新月から数えて13日目、満月には少し欠ける月)で、十五夜は中国伝来、十三夜は、日本古来の月見をする日ということに。
つまり、日本人は満月にさほどこだわらない民族なのかもしれません。
ただし、どちらか一方の月しか見ないことを「片月見」(かたつきみ)と称し、災いが来ると忌み嫌われたので、「二夜の月」(ふたよのつき)として風雅に2度月見を楽しんだのです。
ちなみに2024年の十三夜は10月15日(火)です。
ではどうして秋の夜空に浮かぶ月が「名月」とされるのでしょう?
十五夜となる日の月の出時刻は季節によって異なり、春は17:14頃、夏は18:59頃、秋は17:41頃ですが、秋の月の出は前日とあまり変わらない時間という特殊な性質があり(秋は夕方に月は地平線から近いところに位置しています)、月待ちをしやすいというメリットがあります。
そして黄道の位置の違いから、月の位置も季節によって異なり、夏の満月は低く、冬の満月は高いという違いが生まれます。
つまりはちょうどいい高さ、まんなかくらいにあるのが中秋の名月で、低からず、高からずという「中空の名月」というわけなのです。
プロのカメラマンも「月を引き目で被写体とする際は、山やススキなどを入れるほうが良い構図となりますが、月が高すぎると間延びしますし、低いとバランスが悪くなります」と解説。
たしかに絵画に描かれた月も「中空の名月」。
加えて国立天文台は、「大気による散乱のため、月は低いところでは赤やオレンジ色、高くなるにつれて黄色っぽくなり、やがて白っぽく見えるように」と色の変化も名月の条件に加えています。
低い夏は赤っぽく、高い冬は白っぽい、黄色というちょうどいいのが秋ということで、高さ、色ともにバッチリなのです。
さらに時間的にも夏の満月は出が遅く、冬の満月は出が早くなり、ちょうどいいのが中秋の名月と、三拍子揃った、観賞に絶好の月ということに。
2024年は9月17日が万一曇りや雨だったら、10月15日の十三夜に期待をかけましょう。
もちろん晴れていれば、「二夜の月」と両方を愛でたいものです。
中秋の名月は、なぜ美しい!? これを読むと名月を観賞したくなる! | |
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