和歌山県東牟婁郡串本町、串本から大島に向かう海中850に列を成して大小40余りの岩柱が並ぶのが、南紀を代表する景勝地、橋杭岩(はしぐいいわ)。日中は奇観といった感じですが、朝夕や、満天の星が期待できる日には、神秘的な光景が展開します。周辺に宿を取り、映える写真をぜひ。
熊野だからこそ生まれた不思議な景観
日本の地質百選にも選定される橋杭岩は、1500万年前〜1400万年前、熊野カルデラ(直径南北41km、東西直径23kmの巨大カルデラ)を形成した火山活動で南北の割れ目に貫入した石英安山岩の岩脈。
熊野カルデラを形成した破局噴火のため地球全体の気温は10度以上も低下し、大量絶滅が起きたとされていますが、このことはあまり知られていません(地球史上でも最大規模に近い破局噴火)。
そんな破局噴火の痕跡は、紀伊半島特有の豊富な雨量で浸食を受けたためにあまりありませんが、この橋杭岩は貴重な「名残り」です。
国の天然記念物に指定されている橋杭岩ですが、その成因を考えると特別天然記念物でもいいような気がします。
新宮市の神倉神社の御神体・ごとびき岩、古座川町の一枚岩、虫喰岩、天柱岩は、いずれも熊野カルデラ形成時の破局噴火の痕跡。
熊野信仰の聖地・那智の滝は、破局噴火由来で浸食に強い火成岩(熊野酸性火成岩類)と比較的柔らかな堆積岩(前弧海盆堆積体)の地層の境界に形成された滝です。
噴出後に火山体の内部が陥没し、超巨大カルデラ(凹部)が誕生するほどの大量のマグマが発生した理由は今も解明されていませんが、こうした人知では計り知れない火山パワーの痕跡が、超越的な存在として熊野信仰を生み出したともいえるでしょう。
道の駅「くしもと橋杭岩」隣接の「フェアフィールド・バイ・マリオット・和歌山串本」(Fairfield by Marriott Wakayama Kushimoto)は、マリオット・インターナショナル系列のホテル。
つまりはこの絶景を眺めるために建てられたホテルで、ぜひオーシャンビューの部屋で、「映える写真」の時間帯を待ちましょう。
【映える和歌山 第6景】 大量絶滅が起きた破局噴火の痕跡、橋杭岩 | |
所在地 | 和歌山県東牟婁郡串本町くじ野川 |
場所 | 橋杭岩 |
電車・バスで | JR串本駅から熊野交通バス新宮行きで5分、橋杭岩下車、徒歩すぐ |
ドライブで | 阪和自動車道南紀田辺ICから約75km |
駐車場 | 50台/無料 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
最新情報をお届けします
Twitter でニッポン旅マガジンをフォローしよう!
Follow @tabi_mag