【重要文化財】江埼灯台

江埼灯台

兵庫県淡路市、淡路島の北端、明石海峡に面した江崎に明治4年に建設された石造灯台が江埼灯台。設計は灯台の父と呼ばれるR.H.ブラントンで、慶応3年(1867年)、徳川幕府と英国公使が兵庫開港に備えて結んだ大坂条約によって建設された5基の洋式灯台のひとつ。Aランクの保存灯台で、国の重要文化財に指定。

幕末の大坂条約で設置が約束された灯台が、現役!

江埼灯台マップ
江埼灯台マップ

「日本の灯台の父」と湛えられるリチャード・ヘンリー・ブラントン(Richard Henry Brunton)は、在任7年6ヶ月の間に26基の灯台を建設していますが、江埼灯台もそのひとつ。

瀬戸内海国立公園に指定された風光明媚な場所ですが、沖合は明石海峡で、大阪港や神戸港に出入りする船にとっての海の難所の一つ。
慶応3年(1867年)、幕府と英国公使は、慶応3年12月に迫った兵庫開港に備えて大坂条約(別名「大坂約定」)を締結し、5つの灯台(江埼、六連島、部埼、友ヶ島、和田岬)設置を約束。
そのうち、最初に設置されたのがこの江埼灯台です。

大坂条約の前年にはアメリカ、イギリス、フランス、オランダとの間で江戸条約も結ばれ、8ヶ所の灯台建設が約束されていますが、この江埼灯台は、国内でも8番目に建設された近代的な灯台。
灯塔には家島産(現・兵庫県姫路市)の御影石を使用し、当初は石油ランプが使われていました(昭和8年に電化)。

灯台は明治4年4月27日に初点灯した当時のままの姿を残している貴重な存在。
平成7年1月17日の阪神・淡路大震災では、江埼灯台の至近の野島断層が震源地だったため、灯塔付属舎の石積みがズレ、灯台構内では地割れ、スベリ(移動)、陥没(沈下)が発生しています。
野島断層の地割れ部分は、後世に伝えるため、カラーコンクリートで舗装して保存しています。

経済産業省の近代化産業遺産(「安全な船舶航行に貢献し我が国の海運業等を支えた燈台等建設の歩みを物語る近代化産業遺産群」)にも認定。
旧退息所(灯台職員宿舎/国の登録有形文化財)が「四国村(四国民家博物館)」に移築復元されています。
この退息所も、当初は灯台守が外国人だったため、その職員向けに築かれた石造平屋建ての建物です。

明石海峡を行き交う船を見守る歴史ある灯台

江埼灯台

灯台基部からの明石海峡の眺めは絶景です。
明石海峡は好漁場で、国内でも最も船舶の往来する海域。
灯台の果たした役割も大きかったわけです。

塔高(地上〜塔頂)8.27m、灯火標高(平均水面〜灯火の高さ)48.5m、光達距離は白色18.5海里(34.3km)、赤色16海里(29.6km)、赤5秒、白5秒。

海岸沿いを走る兵庫県道31号(福良江井岩屋線)沿いの江崎公園が玄関口。
灯台へは200段の石段を上るので、足回りはしっかりと。
参観灯台ではありませんが、例年、11月1日の灯台記念日前後に一般公開(問い合わせ先:神戸海上保安部交通課)が行なわれています。

国内の主要海峡で最多の1日約800隻が通行する明石海峡。
その交通管制は、神戸市にある大阪湾海上交通センター(マリンタクトKOBE)が担っています。

灯台近くには風待ちや潮待ちの湊だった松帆の浦(まつほのうら)、徳島藩松帆台場跡(とくしまはんまつほだいばあと)もあるので時間が許せばあわせて見学を。

【重要文化財】江埼灯台
名称江埼灯台/えさきとうだい
Esaki Lighthouse
所在地兵庫県淡路市野島江崎小磯17
ドライブで神戸淡路鳴門自動車道淡路ICから約4km
駐車場江崎公園駐車場を利用
問い合わせ淡路市観光案内所 TEL:0799-72-4624
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
保存灯台Aランク 近畿

海上保安庁の保存灯台Aランク 近畿4灯台

近畿には江戸条約(改税条約)で設置が決定した潮岬灯台のほか、兵庫開港に伴って大坂条約によって建設された友ヶ島灯台(国の重要文化財)、江埼灯台(国の重要文化財)など歴史的な灯台が現存。加えて近畿最北端に建つ経ヶ岬灯台(国の重要文化財)がAラン

重要文化財の現役灯台 全国14基

全国に3000基といわれる灯台ですが、国の重要文化財に指定される現役の灯台がなんと14基あり、そのうち5基が灯火部分まで上ることのできる参観灯台です。白亜の灯台であってもコンクリート製ではなく、レンガ造りや石造りの場合が多く、ぜひ塔に接近し

江埼灯台

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江埼灯台

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