兵庫県神戸市西区押部谷町木津(きづ)の断崖に刻まれた磨崖仏(まがいぶつ)が木津の磨崖仏。礫岩と砂岩の崖(高さ5.6m、幅100m)に刻まれた像高42cmの阿弥陀如来坐像とその左右に3体ずつ配された像高25.2cm~28.5cmの六地蔵が並んでいます。文正2年(1467年)、石工・兵衛が刻んだものです。
行き交う旅人を見守った阿弥陀如来と六地蔵
左端部分に文正2年という室町時代の年号と石工の名前が彫られています。
兵庫県には中世の磨崖仏が40ヶ所確認されていますが、銘があるものは12ヶ所にすぎず、石工の名があるのは実に貴重です。
東播磨から鵯越(ひよどりごえ)を経て兵庫津への交通路途中にあったため(源義経も一の谷合戦時に通ったとも)、行き交う旅人の安全を祈願して刻まれたものだと推測できます。
地元・木津の集落では、明治時代まで伊勢講の伊勢参宮時などには、磨崖仏の刻まれた岩の上まで送迎する風習があり、「サカムカエ」と呼んでいたとのこと(旅に出る際、婚礼などの際に、国境、村境まで送迎する「サカムカエ」の風習は各地にありました)。
鎌倉時代以降、庶民に広まった浄土信仰を背景に、釈迦の入滅後、56億7000万年後に弥勒菩薩(みろくぼさつ)が出現するまでの間、現世に仏が不在となってしまうため、その間、六道すべての世界(地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人道・天道)に現れて衆生を救う菩薩が地蔵菩薩ということで、村の入口などには六地蔵が立てられるようになったのです。
神戸市の記念物(史跡)に指定されています。
木津の磨崖仏 | |
名称 | 木津の磨崖仏/きづのまがいぶつ |
所在地 | 兵庫県神戸市西区押部谷町木津 |
関連HP | 神戸市公式ホームページ |
電車・バスで | JR木津駅から徒歩15分 |
ドライブで | 山陽自動車道神戸西ICから約3.5km |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
最新情報をお届けします
Twitter でニッポン旅マガジンをフォローしよう!
Follow @tabi_mag