兵庫県神戸市兵庫区にある標高85mの会下山をくり抜いて、明治34年8月に完成した日本最初の近代河川トンネルが、湊川隧道(みなとがわずいどう)。平成12年、新湊川トンネルが完成して役目を終え、貴重な文化遺産、土木遺産として保存されています。国の登録有形文化財にも指定。
明治34年8月に通水した河川トンネルを保存
六甲山系の急峻な山の湧水を集めて、大阪湾へと下る湊川。
普段は流れる水も少なく、現在の湊川公園を経て新開地を流れていましたが、いったん大雨となると市街地を水浸しにしていました。
明治29年、神戸地区に大水害が起こり(死者38名、負傷者57名を出す惨事に)、念願の「湊川の付け替え」が許可され、明治30年に着工。
大阪の豪商、藤田伝三郎や小曽根喜一郎、大倉喜八郎などの実業家らが発起人となって、「湊川改修株式会社」が設立され、工事が始まったのです。
こうして明治34年8月に通水の湊川隧道は、アーチ部は長手積みのレンガ、側壁部はイギリス積みのレンガ、インバート部は瀬戸内海各地から運ばれた石を使った切石積みで幅7.3m、高さ7.6m、全長604m(昭和2年、神戸電鉄建設に伴って延長され、増築後は670m)。
湊川隧道の坑口は、呑口(上流側)が古典様式、吐口(下流側)はゴシック様式と、凝った造り。
坑口の扁額は、陸軍大将、小松宮彰仁の揮毫(きごう)で、吐口部に「天長地久」、呑口部に「湊川」と刻まれています。
普段は非公開ですが、「湊川隧道保存友の会」が組織され、一般公開を定期的に開催。
湊川隧道 | |
名称 | 湊川隧道/みなとがわずいどう |
所在地 | 兵庫県神戸市兵庫区湊川町9-3-1 |
関連HP | 湊川隧道保存会事務局公式ホームページ |
電車・バスで | 神戸電鉄湊川駅から徒歩10分 |
駐車場 | なし/周辺の有料駐車場を利用 |
問い合わせ | 湊川隧道保存会事務局 TEL:090-5255-6288 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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