兵庫県神戸市東灘区本山南町4丁目、小寄公園に静態保存されるSL(蒸気機関車)が、石原産業S108。日本車両名古屋工場で昭和17年4月17日に製造され、八幡製鉄に納入後、戦後は石原産業四日市工場(三重県)で昭和42年10月まで活躍していました。
石原産業四日市工場で使われたC形機関車
動輪3つのC形で、石炭も水も機関車本体に積み込む「タンク機関車」。
当初は、鉄鉱採掘事業の運搬用として石原産業海南島(中国)に納入される予定でしたが、戦局の悪化で海南島に送ることができなくなり、八幡製鉄に納入。
その後、昭和21年に石原産業四日市工場で使用されていました。
国鉄へ委託して検査が行なわれたため、車体左側面には昭和40年5月に国鉄長野工場で全般検査を受けた表記が記載されています。
石原産業四日市工場は、紀州鉱山(現・三重県熊野市)で産出される銅鉱石を精練するための工場で、昭和13年、まだまだ漁村だった四日市に工場を建設、四日市工業化の草分け的な存在です。
戦後は、四日市コンビナートの中核的な化学工場(酸化チタンなどを生産)として再生され(土地も優先的に割り当てられましたが、公害問題も生まれました)、その化学工場に投入された蒸気機関車が、石原産業S108号。
S108号は関西本線四日市駅から分かれる貨物線(支線)の塩浜駅と四日市港に臨む石原産業四日市工場とを結ぶ3kmの専用線で2412号(明治37年、ドイツ・ハノーバー社で製造のB6型蒸気機関車=現在は名古屋市科学館が保有)と1ヶ月交代で交互に使われた後、昭和43年に廃車となり、本山交通公園(小寄公園の前身)に静態保存されたもの。
小寄公園の場所は、昭和26年から本山自動車運転免許試験場だった地で、運転免許試験場が明石市に移転(昭和44年)後、昭和46年から本山交通公園となり(平成17年廃園)、さらに平成21年にリニューアルオープンして小寄公園として使われています。
平成7年1月17日の阪神淡路大震災で、石原産業S108は横倒しになりましたが、大きな損傷はなく、解体は免れて、静態保存されています。
小寄公園には神戸市電1155も保存されているので、あわせて見学を。
小寄公園・石原産業S108 | |
名称 | 小寄公園・石原産業S108/こよりこうえん・いしはらさんぎょうえす108 |
所在地 | 兵庫県神戸市東灘区本山南町4-4 |
電車・バスで | 阪神電気鉄青木駅から徒歩8分 |
駐車場 | 周辺の有料駐車場を利用 |
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