広島県尾道市、尾道水道に臨む千光寺山(せんこうじやま)はもともと山全体が千光寺の寺域。その中腹の崖にへばりつくように建っているのが千光寺の本堂。美しい朱塗りの建物は赤堂と呼ばれている。「汽車が尾道の海へさしかかると、煤けた小さい町の屋根が提灯のように拡がって来る。赤い千光寺の塔が見える」と林芙美子の『放浪記』にも登場。
開運厄除けに御利益がある古刹
寺伝によれば、大同元年(806年)、空海の創建と伝えられる真言宗の古刹で、平安時代中期の武将・源満仲(みなもとのみつなか=多田満仲)の中興。
開運厄除けに御利益があり、厄除祈願で知られています。
本尊は聖徳太子作と伝えられる十一面千手観音菩薩で33年に一度御開帳される秘仏。
千光寺山は花崗岩の奇岩怪石が多い山で、古代から霊山として崇められていたことは、境内を歩けば納得ができます。
玉の岩は、岩の頂に如意宝珠があり、夜間に海を照らしていたので、海岸は玉の浦という名がついたのだとか。
貞享3年(1686年)の建立の本堂は、海側に突き出したテラスのような舞台造りで、そこからの眺めも圧巻。
除夜の鐘で知られる鐘楼は、志賀直哉の『暗夜行路』に「六時になると上の千光寺で刻の鐘をつく。ごーんとなると直ぐゴーンと反響が一つ、又一つ、又一つ、それが遠くから帰ってくる。」と記され、「千光寺に夜もすがらなる時の鐘 耳にまぢかく寝ねがてにける」(中村憲吉)など多くの文人がその音を記し、「音に名高い千光寺の鐘は 一里聞えて二里ひびく」という俚謡(りよう)も残しています。
千光寺山ロープウェイの山頂駅からは、志賀直哉の『暗夜行路』などの千光寺の鐘も自然石に刻まれる「文学のこみち」を利用し徒歩10分。
「山陽花の寺二十四か寺」のひとつで春の桜は有名。
千光寺の鎮守は熊野権現と石鎚蔵王権現で、大正時代から石鎚蔵王権現も祀られています。
その場所は、本堂の背後の「くさり山」で、その名の通り、修験の道のような険しい鎖場となっています。
石鎚山鎖修行(有料)は、鎖場なので注意をよく読んでからトライを。
ちなみに、石鎚蔵王大権現は、四国の石鎚山を遥拝するのではなく、浄土寺山の石鎚大権現(海龍寺裏手)に向かって建てられているのだとか。
千光寺 | |
名称 | 千光寺/せんこうじ |
所在地 | 広島県尾道市東土堂町15-1 |
関連HP | 千光寺公式ホームページ |
電車・バスで | JR尾道駅から徒歩15分で山麓駅、千光寺山ロープウェイ3分で山頂駅下車、すぐ |
ドライブで | 山陽自動車道尾道ICから約7.6km |
駐車場 | 千光寺公園駐車場(70台/有料) |
問い合わせ | 千光寺 TEL:0848-23-2310 |
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
取材協力/尾道観光協会、広島県観光連盟
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