広島県竹原市、竹原沖に浮かぶ大久野島は、戦前は芸予要塞、戦時中は毒ガス開発、そして近年では「うさぎの島」として知られています。島の尾根筋を南北に縦断して送電線が通っていますが、北部の山上にあるのが、日本一高い送電鉄塔(中国電力大三島支線No.11)です。
中国四国連絡送電線の鉄塔が、大久野島の山上に
6海峡を横断し本土と四国を結ぶ中国四国連絡送電線。
昭和36年4月に本格的な工事が始まっています。
本土(忠海)~大久野島間(2357m)、大久野島~大三島間(1423m)の送電線(中国電力大三島支線)を支えるために、昭和36年に建造された高さ226mの鉄塔です。
本土(忠海)~大久野島間の2357mという距離も、中国四国連絡送電線のなかでは最長。
なぜこんなに高い鉄塔が必要かといえば、送電線の下を通る大型船舶の通航を妨げないため。
1本が10トンを超える送電線6本を支え、送電線自体の重みのために多少たわんでも、その下を船が安全に航行できる高さ(海面上42m)を確保するために、このような高さの鉄塔が必要になったのです。
鉄塔自体の重量も937tもある頑強なものですが、昭和34年に襲来した伊勢湾台風の被害を鑑み、巨大台風の到来にも耐えうる構造になっているのです。
また、海風による電線の振動を抑える装置、塩分による腐食を防ぐ対策を施した電線(電線の周囲にぐるりと防食油を塗る「重防食」を実施)などはすべて特別仕様に。
滑車を付けたカゴを送電線にぶら下げ、古い防食油を剥いだ後に電線を磨き、新しい防食油を塗るというメンテ年スも行なわれています。
日本一高い送電鉄塔は、大久野島山頂展望台と中部砲台跡を結ぶ途中にあるので、戦争遺跡探勝のハイキング途中に見上げることができます。
日本一高い送電鉄塔(中国電力大三島支線No.11) | |
名称 | 日本一高い送電鉄塔(中国電力大三島支線No.11)/にっぽんいちたかいそうでんてっとう(ちゅうごくでんりょくおおみしましせんなんばー11) |
所在地 | 広島県竹原市忠海町大久野島 |
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