01北海道
プレスマンユニオン編集部
北黄金貝塚
北海道伊達市北黄金町、国道37号沿いにある縄文時代の遺跡が北黄金貝塚(きたこがねづかかいづか)で、一帯は史跡北黄金貝塚公園として整備され、北黄金貝塚情報センターが建っています。世界遺産「北海道・北東北の縄文遺跡群」の構成資産のひとつ(道内には構成資産6ヶ所、関連資産1ヶ所)。
定住発展期前半の貝塚を伴う拠点集落
復元された竪穴住居と湧水/JOMON ARCHIVES(伊達市教育委員会撮影)
水場の祭祀場/JOMON ARCHIVES(伊達市教育委員会撮影)
噴火湾(内浦湾)周辺には、世界遺産「北海道・北東北の縄文遺跡群」の構成資産になっている入江貝塚、高砂貝塚(ともに洞爺湖町)など、数多くの縄文遺跡がありますが、国内最大最古の水場の祭祀場があるのが北黄金貝塚。
しかも、北海道に存在する縄文貝塚の5分の1の面積を占める巨大貝塚です。
湧水の噴出地点の水場遺構からは、1200点以上もの木の実をすり潰す大量の礫石器(すり石や石皿)が敷き詰められ、そのほとんどが破損していることから、使命を終えた石器(道具)をこの場所で供養するなど、祭祀・儀礼が行なわれたと推測されています。
北黄金貝塚は伊達市北黄金町の上坂台地と茶呑場(ちゃのみば)台地にまたがる30haという広大なもので、縄文時代早期(約7000年前)~中期頃(約4500年前)と推定される人々の営みを知ることができます。
標高10m~20mの丘陵上に位置しますが、温暖な縄文時代の縄文海進期には、漁業資源豊かな海が迫り、背後には落葉広葉樹の森が広がっていました(貝塚や住居は海進・海退などにより変化した当時の海岸線と連動して形成されています)。
復元された貝塚/JOMON ARCHIVES(伊達市教育委員会撮影)
骨刀は現存する世界最古の「刀」とも
出土した縄文人の頭骨/JOMON ARCHIVES(伊達市教育委員会所蔵)
集落跡からは5ヶ所の貝塚、水場遺構のほか、竪穴住居、墓など多様な施設が発掘。
貝塚からはハマグリ、カキ、ホタテなどの貝類、マグロ、ヒラメなどの魚骨、オットセイ、クジラなどの海獣類の骨が出土し、漁労を中心としたこの地域の生業を物語っています。
ドングリなどの木の実を主食としていた本州の縄文人と比較して、虫歯がほとんどなく、北方の縄文人がデンプン質の食品をほとんど口にしていないことがわかっています。
出土した6000年前に作られた骨刀は刀の形状を有するものとしては現存する世界最古の「刀」といわれています。
土器や道具は本州の縄文人と同じ様式ですが、その食生活の基盤の相違が、弥生時代(農耕文化)に変化する本州の縄文時代と、続縄文時代、擦文時代、そしてアイヌへと、狩猟民となっていく北海道との違いともいわれています。
遺跡のうち、3分の1にあたる10haに整備された公園には、貝塚や竪穴住居が復元され、縄文時代の生活に触れる場として公開されています。
ガイダンス施設となる「北黄金貝塚情報センター」には縄文時代の貝塚、墓の様子を再現し、貴重な発掘品を展示するほか、縄文体験メニューも用意。
また、縄文時代から現代までの伊達市の歴史がわかる博物館として「だて歴史文化ミュージアム」があります。
ちなみに平成20年に開催された「北海道洞爺湖サミット」(第34回主要国首脳会議)のテーマだった「環境との共生」は、縄文文化そのもので、世界遺産「北海道・北東北の縄文遺跡群」はそんな縄文人の精神性を学ぶ場にもなっているのです。
クジラの骨でできた刀/JOMON ARCHIVES(伊達市教育委員会所蔵)
北黄金貝塚 |
名称 |
北黄金貝塚/きたこがねかいづか |
所在地 |
北海道伊達市北黄金町75 |
関連HP |
伊達市公式ホームページ |
|
電車・バスで |
JR黄金駅から道南バス伊達駅前、洞爺湖温泉行きで5分、北黄金貝塚公園前下車 |
ドライブで |
道央自動車道室蘭ICから約7.5km |
駐車場 |
30台/無料 |
問い合わせ |
北黄金貝塚情報センター TEL:0142-24-2122/FAX:0142-24-2122 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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