長禅寺三世堂

茨城県取手市にある臨済宗妙心寺派の寺。931(承平元)年、平将門(たいらのまさかど)が勅願所として創建したと伝わる古刹。境内にある三世堂は、現存する江戸時代の貴重なさざえ堂です。二重らせん構造の階段で、坂東、秩父、西国の百観音を巡る仕組みで、江戸時代後半に本所の羅漢寺がブームとなりその後、北日本各地に築かれました。

4月18日の長禅寺『百観音大祭』に三世堂が公開

平将門没後は、御厨三郎吉秀とその後裔が、将門の守本尊の十一面観音像を伝えたという。
1219(承久元)年、義門和尚が再興し、江戸時代には3代将軍・徳川家光から寺領5石3斗を賜っています。
その後、江戸時代には歴代の将軍から朱印状を受けています。

南側から石段を上り山門をくぐると、正面に建つのが茨城県指定文化財の三世堂。
棟札によれば、1763(宝暦13)年に建立された堂が大破したため、1801(享和元)年に再建されたもの。
1層に坂東三十三か所観音札所、2層に秩父三十四か所観音札所、3層に西国三十三か所の各本尊の写しを安置しており、合計100体の観音像があることから、百観音堂と呼ばれています。

上り専用の階段と下り専用の階段があり、順路にそって進めば堂内では参拝者が交差せずに巡拝できる構造。
外観や構造的には1726(享保11)年頃までに建立されたという羅漢寺のさざえ堂(三匝堂=さんそんどう)によく似ているので、それを模倣したとも推測できます。

境内には小林一茶の句碑もあります。
「下総の四国廻りや閑古鳥」の一茶句は、長禅寺を中心とした新四国相馬霊場八十八か所遍路(大師詣り)を詠んだ句で、河童の絵を多く残した小川芋銭(おがわうせん)の筆になります。

毎年4月18日の長禅寺『百観音大祭』に三世堂が公開されています(公開時間に注意/11月の文化財保護強調週間中には取手市主催で公開)。

近くには利根川に残る渡船、小堀の渡し(おおほりのわたし)もあるので、時間があれば寄り道を。

長禅寺三世堂
名称 長禅寺三世堂/ちょうぜんじさんせどう
所在地 茨城県取手市取手2-9-1
関連HP 取手市公式ホームページ
電車・バスで JR取手駅から徒歩5分
ドライブで 常磐自動車道谷和原ICから約14km
駐車場 なし/周辺の有料駐車場を利用
問い合わせ 取手市教育総務課埋蔵文化財センター TEL:0297-73-2010/FAX:0297-73-5003
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

【知られざるニッポン】vol.28 全国にあった! 二重らせん構造の「さざえ堂」

2017年11月26日

小堀の渡し

2017年11月15日

 

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