神々を迎える出雲・稲佐の浜にテトラポットが並ぶ!

旧暦10月10日、八百万(やおよろず)の神を迎える神迎神事(かみむかえしんじ)の舞台となる稲佐の浜。出雲地方では旧暦10月を「神在月」と呼びますが、神々はここに降臨し、出雲大社に参集するのです。その聖なる浜、稲佐の浜には実はテトラポットがズラリと並び、訪れた人からは驚きの声も。

弁天島の護岸にもテトラポットが並ぶ

設置工事の際の画像

「日が沈む聖地・出雲」のシンボル的存在の稲佐の浜ですが、豊玉姫命(とよたまひめのみこと)が祀られる弁天島の護岸も階段状に整備され、テトラポット(波消しブロック)が並んでいます。

実は山陰海岸では、近年砂浜の流出が大きな問題となっています。
出雲・斐伊川流域では、和銅6年(713年)の『出雲国風土記』の時代(奈良時代)から山腹を切り崩して流水により砂と鉄を分ける「鉄穴流し」の方法で、良質の砂鉄採取が行なわれ、流域の荒廃を手助けし、海岸に砂を堆積させてきました。

砂防事業の進展などで、海岸の砂の堆積が減り、近年は温暖化による水位上昇もあって海岸の浸食が進んでいるのです。
島根県東部農林水産振興センターによれば、テトラポットの設置は、浸食・高潮防止対策および飛砂防止対策とのこと。
稲佐の浜の背後は市街化し、砂が飛ぶことが問題となっていたのです。

年々、テトラポット周辺にも砂の堆積が進み、違和感は減少していますが、日本各地でこうした海岸の侵食問題、飛砂問題は難題となっていて、神が降臨する浜も例外ではなかったということに。

神々を迎える出雲・稲佐の浜にテトラポットが並ぶ!
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稲佐の浜

「国譲り神話」の聖地として伝えられるのが出雲市大社町の稲佐の浜。『古事記』にも神々により国譲りの話し合いが行なわれた場所と記されています。今も旧暦の10月10日(新暦の11月14日頃)、夜7時から出雲に集まる神々を迎える『神迎祭』が行なわれ

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