首都圏のJRでもっとも急勾配は、上野東京ラインの「神田坂」!

上野東京ライン・神田坂

JR東日本は2024年10月13日(日)深夜、上野東京ラインの東京駅~上野駅間を歩く「設備メンテナンス社員と行く 上野東京ライン☆ナイト線路ウォーク」を開催しますが、実はこの区間に、35‰(パーミル)というJR首都圏最大の急勾配が存在しています。これが通称「神田坂」です。

普通鉄道の技術基準で35‰は最大勾配

上野東京ライン・神田坂

神田駅付近が最高点で、上野方面からも東京駅方面からもググッと上っているのです。
35‰(パーミル)というのは、1000m移動すると35mの標高差があるということになります。

上野東京ラインは、2015年3月14日に、宇都宮線、高崎線、常磐線からダイレクトに東京駅、品川駅に乗り入れが始まった直通運転の愛称。
もともと上野駅〜東京駅間は東北本線の線路がありましたが、東北新幹線の建設用地の確保のため、線路は1983年に分断(新幹線は1991年6月20日に東京駅〜上野駅間が開業)。
この分断部分(3.6km)を解消するために、神田駅周辺では東北新幹線の通る上に高架部分を建設、東北本線を敷設し直したため、東北本線を跨ぐ形で、「神田坂」などと通称される急坂が誕生したのです。

宇都宮線・高崎線の中距離電車の東京駅乗り入れは埼玉県なども要望、さらにつくばエクスプレスの開通による常磐線の旅客減少に対抗するためにも、中距離電車の東京駅乗り入れはJR東日本の悲願となったのです(神田地区の沿線から地下化を要望、高架化に強い反対運動もありました)。

架線が張られた新幹線の線路を足場にして、新幹線の走らない夜間に橋脚を組立てるという、難工事の末に完成しましたが、誕生したのが35‰の「神田坂」ということに。

東京駅側からだと、首都高速都心環状線をくぐると、すぐに「神田坂」の登坂に入り(新幹線はトンネルに)、神田駅のホームの膨らみをなぞるように内側にゆるやかにカーブを描きながら走ると、すぐに下り坂に。
高架橋部分は1.3kmしかないので、あっという間で、0.6kmが東北新幹線の真上を走る部分となっています。
重層部の最高地点は地上22mの高さがあり、ビルでいえば7階くらいということに。

国土交通省によると、現在の普通鉄道の技術基準で35‰(傾斜角度は2度程度)は事実上の最大勾配としていますが、JR東日本は「規定内の勾配で、十分な余裕をもった数値」と解説しています。

上野東京ラインで東京駅〜上野駅間に乗車したなら、じっくりと「神田坂」を味わってください。
「グリーン車の2階部分だと傾きがよく分かる」という人も。

首都圏のJRでもっとも急勾配は、上野東京ラインの「神田坂」!
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