東京湾の奇勝・大ボッケとは!?

大ボッケ

関東周辺に住んでいても大ボッケという名を耳にしたことのあるひとはまずいないでしょう。阿寒湖の湖畔にある泥地獄もボッケという名ですが、東京湾の大ボッケは、南房総(千葉県安房郡鋸南町)、勝山海岸沖1.1kmにある島。大ボッケ、小ボッケと呼ばれる岩島(浮島の属島)で、江戸時代には捕鯨が行なわれた地。

江戸時代には捕鯨が行なわれた海域

大ボッケ

江戸時代初期、勝山村(現・鋸南町勝山)の醍醐新兵衛(だいごしんべえ/初代)は、大組・新組・岩井袋組という鯨組(大組17隻、新組16隻、岩井袋組24隻の3組からなる船株組織、世襲制)の船団を組織化し、江戸湾でのツチクジラ捕獲を開始。
捕鯨業の総元締・大名主として君臨し、幕末には北蝦夷地(樺太)開発に尽力しています。

その醍醐組が捕鯨の地としたのがこの大ボッケ周辺の海域。
おもに東京湾の入口へと回遊するツチクジラ、そしてマッコウクジラを捕獲したのです(漁期は6月~8月の間)。

もともと勝山は、里見水軍の本拠地。
水軍として戦に駆り出された漁民には巧みな操船技術があり、その技術が捕鯨につながったとも推測できます。

大ボッケ、小ボッケは浮島と呼ばれる大きな島の南に位置し、この浮島北側の水深400m~800mの深みは鯨道と称される鯨の通り道でした。
大黒山などの高台で、魚見をする者が浮上してきた鯨を見つけると、船団が出動したのです。

大ボッケには大きな穴が開いているので、メガネ岩とも呼ばれ、12月頃、岩穴に沈む夕日は、カメラマンの間では有名(12月上旬は勝山港の防波堤などから見学できます)。

ちなみに「ぼっけ」は大歩危・小歩危(おおぼけ・こぼけ/徳島県三好市)の「ぼけ・ほけ・ほげ」と同じで、崖や崩壊地形を指す言葉と推測でき、崖島の意。

大ボッケ
東京湾の奇勝・大ボッケとは!?
所在地 千葉県安房郡鋸南町勝山地先
場所 大ボッケ
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浮島

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大黒山展望台

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