磯工芸館(旧島津家吉野殖林所)

磯工芸館(旧島津家吉野殖林所)

鹿児島県鹿児島市吉野町、薩摩藩島津家別邸「名勝仙巌園」内、尚古集成館近くに建つ鹿児島県の伝統工芸品にも指定された薩摩切子の展示販売施設が、磯工芸館。建物は、旧島津家吉野殖林所で、吉田村(現・鹿児島市吉田町)に明治42年に建てられた洋館(国の登録有形文化財)を昭和61年に移築。

薩摩が誇る薩摩切子の復元品と見事な創作品を展示販売

磯工芸館(旧島津家吉野殖林所)

薩摩切子は、幕末に11代藩主・島津斉彬(しまづなりあきら)が島津藩営の窯で創生したもので、重厚感と「ぼかし」と呼ばれる柔らかなグラデーション(厚いガラスを彫る深さによって生じるグラデーション)が特徴。
手作業で分厚いガラスをカットするため、熟練の技が求められますが、一般的なカットガラスよりもはるかに繊細(分厚いガラスを均一にカットするため)で、時間を要する作業が必要です。

誕生から30年ほどでいったん途絶しますが、その技術を1世紀を隔てて、島津家が復活させて展示・販売するのが、磯工芸館です。
ギャラリーでは文献を基に島津家自らが復元した薩摩切子や創作薩摩切子を展示。
隣接して薩摩切子の工房(薩摩ガラス工芸)もあり、製作過程の見学も可能です。
とくに、生地作りからカットや磨きといった加工工程まで一貫して生産される工房はじつに希少。
金型を使った「型吹き」がメインですが、「宙吹き」の技法も使った製品もあり、このみのガラス製品を探す楽しみもあります。

吉野殖林所(吉野植林所)は、鹿児島郡吉野村(現・鹿児島市吉野町)から吉田村(現・鹿児島市吉田町)にかけて広がっていた殖林で、建物はその管理事務所だったもの(設計は隈元長栄、施工は丸田十兵衛)。
石炭を産しない薩摩藩(鹿児島県)では、1500度もの高温が必要となる鉄やガラスの溶融に木炭を使ったことから(寺山炭窯跡が鹿児島市に残存)、森林資源は重要視されていました。
こうした歴史的な背景もあって、森林の管理事務所が薩摩切子の工芸館となっているのだと推測できます。

磯工芸館(旧島津家吉野殖林所)
名称 磯工芸館(旧島津家吉野殖林所)/いそこうげいかん(きゅうしまづけよしのしょくりんじょ)
所在地 鹿児島県鹿児島市吉野町9688-24
関連HP 磯工芸館 公式ホームページ
電車・バスで JR鹿児島中央駅から鹿児島交通の霧島行きバスで15分、仙巌園前下車、徒歩3分
ドライブで 九州自動車道鹿児島北ICから約8.7km
駐車場 あり/無料
問い合わせ 磯工芸館 TEL:099 247 8490
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
仙巌園(磯庭園)

仙巌園(磯庭園)

万治元年(1658年)に島津家19代、薩摩藩第2代藩主・島津光久(しまづ みつひさ)が別邸として造園した庭園が仙巌園で、通称「磯庭園」。園内には奇岩奇石が多く、中国江西省・龍虎山の仙巌に似ていることから「仙巌園」と名付けられました。琉球王国

 

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