神奈川県横浜市、港の見える丘公園の園内にある山手洋館のひとつが横浜市イギリス館。イギリス総領事公邸として、上海の大英工部総署のイギリス人技師によって設計されたコロニアルスタイルの白亜の洋館。広大な敷地に建つ大規模な建物からは、竣工(昭和12年)当時の大英帝国の風格が感じられます。横浜市の文化財に指定。
イギリス軍駐屯地の跡に建築の総領事公邸
英国総領事公邸が建てられた場所は、イギリス軍駐屯地の跡。
昭和6年、日本大通にイギリス総領事館(現・横浜開港記念館旧館)が建設され、その総領事の公邸として港の見える丘の上に建てられました。
完成した年に日中戦争が勃発し、昭和16年にはイギリスに宣戦布告という暗い時代には総領事不在のことも。
昭和44年の総領事引き上げで競売となり、横浜市の所有となったもの。
主屋の1階の南側には、西からサンポーチ、客間、食堂が配され、広々としたテラスは芝生の庭につながっています。
2階には寝室や化粧室があり、広い窓からは庭や横浜港の眺望が楽しめます。
地下にはワインセラーがあり、東側の建物は使用人の住居だったもの。
現在は横浜市有形文化財に指定され、1階ホールはサロンコンサートやピアノ発表会に、2階の集会室も市民の交流の場として活用しています。
また、2階には展示室、復元された寝室があり、一般に公開。
建物周辺にはローズガーデンも整備され、開花期にはバラを目当てに訪れる人で賑わいをみせます。
正面脇の銅板は、英国総領事公邸(British Consular Residence)であった由緒を示し、玄関左側の1937年ジョージ6世(George VI/在位1936年〜1947年)時代の建築物であることを示す「GRⅥ1937」と印した紋章もあるのでお見逃しなく(ジョージ6世は、映画『英国王のスピーチ』の主人公)。
現在、駐日英国大使館は東京に、英国総領事館は大阪にありますが、かつては開港地を中心に下関英国領事館(山口県)、函館イギリス領事館(北海道)、神戸イギリス領事館(兵庫県)、新潟イギリス領事館(新潟県)などが設置されていました。
戦前はイギリス政府工務局上海事務所が東アジアにおけるイギリスの在外公館の営繕を担当していたため、横浜の総領事公邸の設計も担当したのです。
横浜市イギリス館 | |
名称 | 横浜市イギリス館/よこはましいぎりすかん |
所在地 | 神奈川県横浜市中区山手町115-3 |
関連HP | 横浜市イギリス館公式ホームページ |
電車・バスで | みなとみらい線元町・中華街駅から徒歩10分 |
ドライブで | 首都高速横羽線横浜公園ICから約1.8km |
駐車場 | 周辺の有料駐車場を利用 |
問い合わせ | 横浜市イギリス館 TEL:045-623-7812 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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