横浜市の山手地区、元町公園の前に建つ洋館が山手234番館。横浜市緑の協会が管理する横浜山手西洋館(入館無料)のひとつで、関東大震災の復興事業として昭和2年、外国人向けのアパートメントハウス(共同住宅)として建てられたもの。設計は、隣接する山手89-6番館(現「えの木てい」)と同じ、朝香吉蔵(あさかきちぞう)です。
山手地区に民間が建築した外国人向け共同住宅
山手地区には開港後の土地不足も反映し、外国人の住宅が集まる異国情緒あふれる町並みがありました。
山手234番近くの横浜聖公会の聖堂はジョナサン・コンドル設計のレンガ造りでした。
その大部分の建物が大正12年9月1日の関東大震災で倒壊。
関東大震災に被災し、横浜から転居した外国人たちを呼び戻すため、復興事業のひとつとして建築されたもの。
昭和50年代まで外国人向けのアパートとして使われていましたが、その後横浜市が取得し、横浜山手西洋館として公開しています。
隣接する山手89-6番館(現・えの木てい)とともに多くの復興住宅を手掛けたであろう朝香吉蔵(桜木町に事務所を構えていました)の設計、宮内建築事務所の施工ですが、朝香吉蔵設計と確認できるのはこの2軒だけとなっています。
地上2階建の木造建築で、内部には3LDK(同一形式で約100平米=当時の日本人の共同住宅の3倍の広さ)の4戸が中央部分の玄関ポーチを挟んで対称的に向かい合い、上下に重なる構成になっていました。
モルタルの外壁、軽量のセメント瓦を使っているのは地震や火災に備えてのこと。
山手本通りに面した側にリビング・ダイニング、その奥に・キッチン、さらにその奥に3つの居室という配置です。
浴室にはトイレ(水洗トイレ)、洗面台もある洋風ホテルのような造り。
3つの居室のうちの1室は使用人のための部屋というのですから、住んだのはどんな人なのかという疑問も生まれます。
人種はアメリカ人、イギリス人、そしてドイツ人で、職業はアメリカ軍関係者、教師、船長、商社マンと様々です。
賃貸住宅ですが、ベランダを設け、その手すりやポーチの円柱にもデザインを施しています。
1階左側のリビング・ダイニングには家具が配置され、当時の部屋の様子が再現され、2階部分は貸しスペースになっています。
山手234番館と山手本通りを隔てて元町公園が隣接していますが、山手234番館も行政上はエリスマン邸とベーリック・ホール同様に元町公園の一部になっています。
山手234番館 | |
名称 | 山手234番館/やまて234ばんかん |
所在地 | 神奈川県横浜市中区山手町234-1 |
関連HP | 山手234番館公式ホームページ |
電車・バスで | みなとみらい線元町・中華街駅から徒歩10分。JR石川町駅から徒歩15分 |
ドライブで | 首都高速横浜公園ICから約2km |
駐車場 | 周辺の有料駐車場を利用 |
問い合わせ | TEL:045-625-9393 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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