神奈川県小田原市南鴨宮3丁目、JR東海道本線鴨宮駅前(かものみやえきまえ)にあるのが、新幹線発祥の地記念碑。鴨宮は、東海道新幹線建設に先立って建設された「鴨宮モデル線」の終点、鴨宮基地があった地で、駅前に発祥の地であることを示すモニュメントが立っているのです。
昭和37年6月25日、新幹線の走行実験が始まった地
鴨宮モデル線は、鴨宮基地から小田急江ノ島線高座渋谷駅付近までの37kmの区間で、昭和37年から数々の走行実験が行なわれた線で、そのためのモデル線管理区(区長・田中隆造)が設置され、鉄道技術研究所が実務を担いました。
昭和37年6月25日、鴨宮モデル線の先行して完成した区間11km(モデル線全区間完成は10月)を使っての速度向上試験がスタート。
開業前年の昭和38年3月30日には電車方式による世界記録(当時)となる時速256kmの試験走行(新幹線1000形電車=試験目的の試作車)に成功しています。
初代車両の0系量産に向けて、試験走行のデータを取り、国鉄本社に情報を送る重要な役割を担ったのが、モデル線管理区だったわけで、トンネル内の高速走行による空気圧への対応がもっともネックになった部分だったとか。
その後、鴨宮モデル線は、東海道新幹線の全線開通にあたり、東海道新幹線の路線の一部に組み込まれ、消滅。
新幹線発祥の地とされる鴨宮基地は、現在は幹線の線路などを保守・点検する車両が集まるJR東海新幹線鴨宮保守基地となっているため、残念ながら立ち入り不可。
鴨宮保守基地内には開業10周年の昭和49年に建立された「新幹線発祥之地」の記念碑がありますが、新幹線の線路脇で、壁のように新幹線に背を向ける形で立っているので、新幹線の車窓からは見ることができません(新幹線と在来線の間に保守基地があるため、東海道本線の下り列車で、鴨宮駅を出た直後に眺めることが可能)。
新幹線発祥之地碑(鴨宮保守基地内)の碑文
新幹線鉄道は、わが国のすべての技術と総力を結集して、昭和39年10月1日に開業した。
これに先立ち鴨宮・綾瀬間32kmをモデル線と命名、その建設を推進し、昭和37年4月モデル線管理区の設立とともに一連の総合試験を開始した。
当初は、2編成の試作電車を使用して多岐にわたる記録を集積し、200km/h運転の実地確認に成功した。また、この間高速運転、保守関係者育成の中心地としてその使命を果した。
昭和38年3月に樹立した256km/hの速度記録は、その総合的成果の一つである。
この業績が、今日に至る新幹線運営の礎石であることに想いを至し、 かつてのモデル線鴨宮基地であつたこの地を新幹線発祥の地として、記念碑を建立する
昭和49年8月
日本国有鉄道 新幹線総局長
常務理事 原田種達
新幹線発祥の地記念碑 | |
名称 | 新幹線発祥の地記念碑/しんかんせんはっしょうのちきねんひ |
所在地 | 神奈川県小田原市南鴨宮3-5-9 |
電車・バスで | JR鴨宮駅からすぐ |
ドライブで | 小田原厚木道路小田原東ICから約2km |
駐車場 | 周辺の有料駐車場を利用 |
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