阿蘇山上神社

阿蘇山上神社

熊本県阿蘇市、阿蘇山中岳河口近く、阿蘇山公園道路入口・阿蘇山上広場にある阿蘇神社の奥宮で、祭神は阿蘇火口(神霊池)の神々を祀っています。古来、阿蘇火山を鎮める神社として朝廷の崇拝を受け、平安時代には九州総鎮守府・大宰府により噴火を沈静させる儀式が行なわれたことがわかっています。

阿蘇火山を鎮める神社

阿蘇山上神社には本殿はなく、火口の方向へ向かって遥拝するように拝殿のみが建てられています。
現在の社殿は昭和33年の噴火により被害を受け、同年に再建されたコンクリート製の頑丈なもの。
旧内務省神社局技官で明治神宮の造営、祐徳稲荷神社本殿(佐賀県鹿島市)にも携わった角南隆(すなみたかし)の設計。
中岳火口へと延びる遊歩道の起点にもなっています。

富士山の8合目以上が富士山本宮浅間大社の境内であるのと同様に、中岳の火口一帯は阿蘇神社の神域とされています。

もともと、中岳火口の湯溜まりは「神霊池」と呼ばれ、祭神・健磐龍命(たけいわたつのみこと)の神宮とされてきました。
古代から中世、阿蘇火山は神の宿る山として(阿蘇山火口をご神体とする火山信仰)、火山活動が活発するなどの異変が生じると、天下の凶兆となり、飢饉、あるいは元寇などの国家的な危機が生じるので、それを鎮める必要があったのです。
麓の阿蘇神社の「下宮」に対して、「上宮」(御嶽)と呼ばれていたのです。

7世紀に完成した中国の『隋書』倭国伝には、すでに阿蘇火山の信仰を伝える記述があるので、ヤマト王権時代、すでに古代豪族・阿蘇君一族は、阿蘇火山の鎮静を祈願していたと推測され、律令時代(大化の改新後)になってさらにそれが一族の祖・健磐龍命(本地仏は十一面観音菩薩)を祀る信仰へと発展していったのです。

阿蘇山上は、天台宗の最栄が中世に火口の西の巌殿に健磐龍命の本地仏である十一面観音菩薩を安置して庵(山上本堂)を開き、14世紀~16世紀にかけて草千里周辺まで、37坊51庵もの寺院群が建ち並ぶ山岳仏教の一大霊場(古坊中)として繁栄していますが、現在では西厳殿寺奥の院があるのみで、往時の繁栄を偲ぶものは古坊中遺跡の石塔くらいとなっています。

阿蘇山上神社
名称 阿蘇山上神社/あそさんじょうじんじゃ
所在地 熊本県阿蘇市黒川阿蘇山
関連HP 阿蘇市公式ホームページ
電車・バスで JR阿蘇駅から熊北産交バス阿蘇山西駅行きで40分、終点下車
ドライブで 九州自動車道熊本ICから約40km
駐車場 阿蘇山上駐車場(70台/有料)
問い合わせ 阿蘇神社 TEL:0967-22-0064
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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