東寺

東寺真言宗の総本山が東寺(教王護国寺)。794(延歴13)年の平安京造営に際し、国家鎮護のため羅城門の東に創建さた歴史ある官寺。823(弘仁14)年に空海が譲り受けて真言宗の道場と改めたため、弘法さんの寺として信仰を集めています。「古都京都の文化財」として世界遺産に登録。

日本一高い木造塔である国宝・五重塔は京都のシンボル

国宝の金堂
講堂は国の重要文化財

南大門、金堂、講堂、食堂(じきどう)、北大門が南北に一直線に並ぶ奈良時代の伽藍様式は必見。
境内にそびえる五重塔の高さは57mで、日本最大の木造塔として国宝に指定(指定の名称は「教王護国寺五重塔」)。
国の重要文化財に指定された講堂にも大日如来を中心に、国宝に指定される五大王など21体の仏像が安置されています。

本堂にあたる金堂(国宝)は豊臣秀頼の再建。
創建当初の建物は、1486(文明18)年の土一揆で焼失し、1603(慶長8)年に秀頼の寄進で再建されたもの。

「西院」に建つ御影堂は、かつて空海が住房としていた建物で、国宝。
創建時の建物は1379(康暦元)年の火災で焼失していますが、現在の建物はその翌年に再建された後堂部分と、1390(明徳元)年に増築された前堂、中門。
空海の念持仏とされる不動明王坐像(国宝)を安置していますが秘仏(非公開)です。
前堂には弘法大師坐像(国宝)を安置していますが、毎朝6:00に「お大師様」に朝食を捧げる「生身供」(しょうじんく)が執り行なわれ、これを見る参詣者も多いのが特徴。

このほか南大門、宝蔵、灌頂院が国の重要文化財に指定されています。

毎月21日は弘法大師の縁日で、「東寺の弘法市」開催

北大門を出た左側に建つ東寺宝物館では、真言密教の文化財を多数展示。
宝物館では年2回、春(3月20日〜5月下旬)と秋(9月20日〜11月下旬)に宝物が公開されています。

また空海入寂の3月21日を期して毎月21日には縁日「東寺の弘法市」が行なわれ、「弘法さん」の名で親しまれています。もともと1年に1回だったものを1239(延応元)年以降、月1回に改めたもの。
毎月21日の縁日は参詣者が多く、江戸時代には茶店だけではなく、植木屋や薬屋などの出店が登場するようになりました。これが現在の「東寺の弘法市」に発展。
現在出店される露店はなんと1200〜1300店舗。
また、毎月第1日曜日には骨董市(がらくた市)も開催されています。

密教の教えをビジュアルに説く『両界曼荼羅』

難解と思われがちな真言密教の教えを庶民にわかりやすく、ビジュアルに伝達するための道具となるのが曼荼羅(まんだら)です。
密教の中心となる大日如来の説く真理や悟りの境地を表現したものが両界曼荼羅(りょうかいまんだら)。
大日如来を中央に配し、その周辺に諸仏を一定の秩序にしたがって配置したもの。
『大日経』に基づいた胎蔵界曼荼羅と、『金剛頂経』をもとに描かれる金剛界曼荼羅の2つの総称が両界曼荼羅です。
空海は、唐から帰国する際に、この曼荼羅を持ち帰っていますが、残念ながら現存していません。
東寺に収蔵される絹本著色両界曼荼羅(伝・真言院曼荼羅)は平安初期のもので国宝です。

胎蔵曼荼羅(左)と金剛界曼荼羅(右)

東寺 3つのチェックポイント

世界遺産「古都京都の文化財」構成資産
空海ゆかりの名刹で五重塔は京都のシンボル
21日の弘法市には1200店の露店が出店!

東寺
名称東寺/とうじ
To-ji Temple
所在地京都府京都市南区九条町1
関連HP東寺公式ホームページ
電車・バスで近鉄京都線東寺駅(近鉄京都駅から2分・急行停車)から徒歩5分で南大門。地下鉄烏丸線九条駅から徒歩10分。JR京都駅からは八条口西口から徒歩15分で慶賀門
ドライブで名神高速道路京都南ICから約3.9km。または、阪神高速8号京都線鴨川西出口から約3km
駐車場東寺駐車場(150台/有料)
問い合わせ東寺 TEL:075-691-3325/FAX:075-662-0250
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
東寺・紅葉ライトアップ

東寺『紅葉ライトアップと金堂・講堂の夜間特別拝観』|2024

2024年10月26日(土)~12月8日(日)18:00〜21:30(受付は21:00まで)、京都市の東寺(教王護国寺)で『紅葉ライトアップと金堂・講堂の夜間特別拝観』が行なわれます。国宝の五重塔や金堂などがライトアップされるのは春の夜桜ラ

「そうだ 京都、行こう。」キャンペーン(2023年夏)

「そうだ 京都、行こう。」キャンペーン(2023年夏)

2023年5月20日(土)〜9月30日(土)、JR東海の「そうだ 京都、行こう。」キャンペーン(2023年夏)が行なわれます。今回のテーマは、「あなたは、どの仏像から入りますか?」。六波羅蜜寺の令和館(宝物館)に収蔵展示される空也上人立像を

笹屋伊織

笹屋伊織

京都市下京区に本店のある創業は享保元年(1716年)という老舗の和菓子店が笹屋伊織。毎月20日・21日・22日の3日間のみ発売というどら焼は、東寺の銅鑼(どら)を熱して秘伝の皮を焼いたことにその名の由来があるという、歴史ある銘菓ですが、一般

七福神めぐり

【知られざるニッポン】vol.51 七福神めぐりのルーツは京都にあり!

七福神めぐりは、寺社に祀られる七福神の神々の力をもって福運を授かろうとする民衆の願い。新春に巡拝すれば「七難即滅(しちなんそくめつ)、 七福即生(しちふくそくしょう)」(難を滅ぼし福を呼ぶ)極まりなしといわれています。そんな七福神めぐりのル

都七福神

日本最古の歴史を誇る! 都七福神|京都市

室町時代に京の都で始まったという、日本最古の七福神めぐりが『都七福神まいり』。京都市の南、宇治市にある黄檗山萬福寺(おうばくさんまんぷくじ)から北は洛北の赤山禅院(せきざんぜんいん)まで、7社寺を巡ります。『都七福神まいり』は通年、巡礼が可

東寺・毘沙門堂

東寺・毘沙門堂

世界文化遺産「古都京都の文化財」の構成資産でもある東寺(教王護国寺)。国宝・御影堂(みえいどう)の南側に位置する毘沙門堂(びしゃもんどう)は、天元元年(978年)倒壊した羅城門の上層から食堂に移されていた兜跋毘沙門天像(とばつびしゃもんてん

神護寺

神護寺

京都、愛宕山系の高雄山の中腹にある真言宗の別格本山が神護寺(じんごじ)。高雄、槇尾、栂尾の三尾(さんび)きっての古刹で、天応元年(781年)の創建。もとは平安遷都に尽力した和気清麻呂(わけのきよまろ)の氏寺で大同4年(809年)から14年間

東寺・宝蔵

真言密教の根本道場として栄えた東寺には宝物も多数収蔵されています。平安時代建立の宝蔵は、その名の通り、往時の宝物館。火事による延焼を防ぐため、周囲は堀で囲まれています。扉の取付け方法も平等院鳳凰堂と同じ。解体修理の結果、東寺創建時に近い建造

東寺・食堂

「古都京都の文化財」として世界遺産に登録される東寺(教王護国寺)の中心、講堂の背後にあるのが食堂(じきどう)。初代の食堂は、空海没後の9世紀末から10世紀初め頃の創建ですが、1596(文禄5)年の地震で倒壊。さらに再建された建物も昭和5年の

東寺・講堂

「古都京都の文化財」として世界遺産に登録される東寺の寺域の中でその中心あたる場所が、講堂の中心。空海は、講堂に安置された大日如来は、宇宙の中心と考えたのです。境内は、東西255m、南北515mの長方形で、大伽藍が建っているエリアは、東西、南

東寺・五重塔

「古都京都の文化財」として世界遺産に登録される東寺ですが、京都のシンボル的な存在となっているのが国宝の五重塔。高さ54.8mは木造塔としては日本一の高さを誇っています。現存する五重塔は徳川家光寄進の5代目空海没後の9世紀末の創建ですが、その

東寺・金堂

世界遺産「古都京都の文化財」の構成資産のひとつ東寺(教王護国寺)の中心となる堂宇が金堂。東寺が空海に下賜された823(弘仁14)年までには完成していたと推測される寺の本堂です。創建時の建物は1486(文明18)年の土一揆で焼失し、現存する建

ABOUTこの記事をかいた人。

アバター画像

日本全国を駆け巡るプレスマンユニオン編集部。I did it,and you can tooを合い言葉に、皆さんの代表として取材。ユーザー代表の気持ちと、記者目線での取材成果を、記事中にたっぷりと活かしています。取材先でプレスマンユニオン取材班を見かけたら、ぜひ声をかけてください!

よく読まれている記事

こちらもどうぞ