【重要文化財】経ヶ岬灯台

経ヶ岬灯台

京都府京丹後市丹後町、丹後半島最北端位置する経ヶ岬の先端、海抜140mの断崖上に建つのが、経ヶ岬灯台。明治31年に初点灯した石造の灯台として国の重要文化財に指定。灯台へは駐車場から400mの遊歩道(階段状の山道)を15分かけて登ります。「日本の灯台50選」、経済産業省の近代化産業遺産にも選定。

日本海に映える白亜の灯台は丹後半島のシンボル

経ヶ岬灯台

経ヶ岬沖は、海の難所。
しかも江戸時代から明治時代にかけて、日本最大の交易ルートだった北前船が沖を通っていました。
明治32年に浜田港と境港の両港が開港場の指定を受け、外国との貿易が始まりますが、その開始を前にして、経ヶ岬、美保関、出雲日御碕の3灯台が建設されています。

初点灯は明治31年12月25日。
昭和34年に無人化されています。
塔高12.42m、高台に建つため、平均海面から灯火部分までは148.0mもあります。
光達距離は22.0海里(40.7km)で、毎12秒を隔て8秒間に3閃光。

参観灯台ではありませんが、毎年秋の灯台記念日(11月1日)にちなんでその前後の休日1日に内部の一般公開が行なわれています(舞鶴海上保安部主催)。

灯台のレンズは全国5ヶ所にしかない1等レンズで、高さ2.8m、重さ5tという大きなもの。
そのレンズを回転させる水銀槽式回転機械は、フランス人技師プール・デーュが開発したもので「パリ万博」(1889年/明治22年)に展示されたものを購入し、設置したもの(重厚な3連のレンズを様々な方向へ向けやすくするため、レンズを水銀の槽に浮かせる水銀槽式回転装置を使用)。

木下惠介監督、加藤剛・大原麗子共演による映画『新・喜びも悲しみも幾年月』(昭和61年)の舞台としても知られています。

灯台へは国道178号沿いの経ヶ岬レストハウスから、岬を歩く遊歩道を使う手もありますが、少し遠回りなので、経ヶ岬園地の駐車場に車を停めるのが賢明。
広い駐車場には、休憩所や売店もあり、灯台も尾根の上にかすかに眺望することができます。

経ヶ岬灯台

経ヶ岬は「山陰海岸ジオパーク」のジオサイト

経ヶ岬山頂展望台
経ヶ岬山頂展望台からの眺望

経ヶ岬突端の経ヶ岬灯台からは能登半島まで望む素晴らしい眺望を得ることが可能。
眼下には約800mに渡り続く玄武岩柱状節理の断崖が奇勝を生み出し、丹後天橋立大江山国定公園の一部となっています。

380万年前、火山の噴火で流れた溶岩がゆっくり冷えて固まってできた奇岩で、経ヶ岬はユネスコ世界ジオパーク登録の「山陰海岸ジオパーク」のジオサイトになっています。

経ヶ岬という地名も、岬を取り巻く柱状節理が経巻(経文を記した巻物)を立てたように見えることに由来(灯台下の海蝕洞で、海難事故にあった人の霊を僧侶が弔ったのが名の由来という説もありますが、あくまでも俗説ということに)。
灯台下の海岸には、灯台の建材を切り出した石切り場の跡が残されています。

灯台背後の高台には、明治時代に日本海を通るバルチック艦隊などを監視した経ヶ岬海軍望楼、そして昭和17年には経ヶ岬海軍特設見張所が建てられており、遺構の一部が現存しています。


近くには「日本の棚田百選」にも選定される袖志の棚田(そでしのたなだ)があるのであわせて見学を。

経ヶ岬灯台 3つのチェックポイント

丹後半島の突端に建つ歴史ある灯台で、国の重要文化財
「日本の灯台50選」、近代化産業遺産に認定
岬は「山陰海岸ジオパーク」のジオサイトに

【重要文化財】経ヶ岬灯台
名称経ヶ岬灯台/きょうがみさきとうだい
所在地京都府京丹後市丹後町袖志
関連HP京丹後市観光協会公式ホームページ
電車・バスで北近畿タンゴ鉄道宮津線天橋立駅から丹海バス経ヶ岬行きで1時間32分(宮津駅からは1時間43分)、終点下車、徒歩45分
北近畿タンゴ鉄道宮津線峰山駅から丹海バス経ヶ岬行きで1時間21分、終点下車、徒歩45分
ドライブで京都縦貫自動車道宮津天橋立ICから約50km
駐車場経ヶ岬駐車場(45台/無料)
問い合わせ京丹後市観光協会丹後町支部 TEL:0772-75-0437/FAX:0772-75-2189
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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