現役のリニアモーターカー「リニモ」はどのくらい浮上している!?

リニモ

リニア中央新幹線の品川駅〜名古屋駅間は工事が進行中で、品川駅では地下駅が築かれつつあります。山梨県には将来は実用路線に転用される実験線もありますが、すでに運用されるリニアモーターカーが、愛知県のリニモ。実際にリニモはどのくらい浮上して走っているのでしょう。

ガタンゴトンの振動がないのは8mm浮いているから

リニアモーターカーは、磁気浮上式鉄道のこと。
磁力による反発・吸引力を利用して車体を軌道から浮上させて走行する鉄道で、これまでの車輪とレールの間の静摩擦に頼って走行する粘着式鉄道とは構造が大きく異なっています。

日本初のリニアモーターカーの営業路線は、平成元年3月25日〜10月1日、横浜市制100周年・横浜港開港130周年を記念して開催された『横浜博覧会』で走行したもの。
日本航空が主体となり開発していたHSST方式で、営業キロはわずか515mでした。

HSSTは、High Speed Surface Transportの略で、もともとは成田空港へのアクセスに活用しようと日本航空、その後は名古屋鉄道が中心となって開発を進めたもの。
『横浜博覧会』で走行したのはHSST-05で、平成17年開催の『愛知万博』(『愛・地球博』)の会場への足として活躍したリニモ(愛知高速交通東部丘陵線)は、その発展系のHSST-100Lをベースにした車両(愛知高速交通東部丘陵線100形)が使われています。
都市型交通システムなどの短距離路線を想定して開発された車両で、設計最高速度は130km/h。
急勾配や最小曲線半径50mという悪条件をも克服できるのは、浮上式ならではの利点。

リニモの車体にはレールを抱え込むような形で電磁石が取り付けられています(跨座式で、車体の電磁石が下、レールが上という構造)。
その電磁石に電流が流れると、上部にあるレールとの間に吸引力を生み出し(電磁石にレールが吸い寄せられて)8mmほど浮上し走行しています。
センサーが常時浮上高を計測し、8mmという隙間を一定に保つため、乗車人数に関係なく、8mmの浮上ということに。

万一停電が起きても、列車には、バッテリーが搭載されており、列車が停止するまで浮上することができます。

推進力を生むのがリニアモーターで、通常の回転モーターを平たく伸ばしたスタイルのもので、回転子の役割を車体が、固定子の役目をレールが果たし、車体にある回転子側の導線に電流を流すと磁力が生まれ、固定子側のレールに引き寄せられ、電流の向きを交互に変えることで、N極、S極の位置が前から後ろへと流れるようになり、列車が前進するという仕組みです。

まさに磁力で浮き、磁力で進むという不思議な乗り物です。

リニモ
リニアモーターの図解
現役のリニアモーターカー「リニモ」はどのくらい浮上している!?
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愛知高速交通東部丘陵線(リニモ)

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リニモ

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