新年の言祝ぎ(ことほぎ=言葉による祝福)の話芸として興り、現在の漫才のルーツともいわれるのが伝統芸能の萬歳(まんざい/万歳)。その起源は定かでありませんが、現在、国内で伝承されるのは数ヶ所。そのうち国の重要無形文化財に指定されるのが、三河万歳、尾張万歳、越前万歳で、「日本三大萬歳(日本三大万歳)」ということに。
三河萬歳(三河万歳)
伝承地:愛知県安城市・西尾市・額田郡幸田町
別名:別所万歳(安城市)・森下万歳(西尾市)
起源:応仁の乱(1467年〜1477年)を逃れた尾張・熱田薬師寺の僧・玄海が安祥松平家(徳川家のルーツ)初代当主で安祥城主・松平親忠に請われて土地の人々に国家安泰と五穀豊穣を祈る「礼楽舞」を伝えたのが始まり(安城に伝わる別所万歳の起源)。
歴史:徳川氏の出身地ということで格別の保護を受け、手形なくして関所の通行も認められるなど、大名クラスの待遇。
正月には必ず江戸城に参仕して、万歳師が門外より「鍵いらず戸ざさる御代の明けの春」と唱え、門内より「思わず腰をのばす海老錠」と答えて、めでたく城門を開くのが吉例となっていました。
伝承団体:三河万歳連合保存会(安城市、西尾市、幸田町の三河万歳保存会)
尾張萬歳(尾張万歳)
伝承地:愛知県知多市
別名:知多万歳
起源:伝承では正応年間(1288年〜1298年)に長母寺(ちようぼじ)開山の無住国師が「法華経万歳」(ほけきようまんざい)を創始したのが始まり。
歴史:尾張万歳の基本が成立したのは江戸時代初期。農民の農閑期の出稼ぎとして、主として関西・中部・関東を盛んに回国しました。
伝承団体:尾張万歳保存会
越前萬歳(越前万歳)
伝承地:福井県越前市
別名:野大坪万歳
起源:6世紀に在位した継体天皇の前で舞ったのが起源とも伝えられますが、その起源は定かでありません。
歴史:江戸時代以降は福井、鯖江、勝山、大野といった越前の各藩をはじめ、加賀の金沢や大聖寺までも出かけ、北陸の初春を寿ぐ存在として親しまれてきました。
金沢では、万歳師の宿に前田家の梅鉢の定紋をつけた提灯を立てることを許されるなどの厚遇を受けました。
伝承団体:越前万歳保存会
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