宮川堤

伊勢市の西北を流れる宮川は、伊勢参詣する人々が「桜の渡し」や「柳の渡し」を利用したことで知られる川。現在、宮川にはいくつかの橋が架かっていますが、宮川橋から度会橋までの河川敷と堤防にある約1000本の桜並木は知る人ぞ知る桜の名所。4月の上旬に、例年桜まつりも催され、イベントも開催。「日本さくら名所100選」にも選定。

橋がかかる以前には「桜の渡し」が活躍!

『伊勢名所之図』に描かれた宮川と神宮

宮川右岸の度会橋近くにある宮川堤公園一帯は、昭和12年に三重県が名勝に指定したエリア(伊勢市中島1・2丁目、宮川2丁目)。
度会橋近くには、「下の渡し」があり、周辺に桜が植えられていたことから「桜の渡し」と呼ばれていました。
東国から神宮(伊勢神宮)を目指す人は、必ずこの「下の渡し」(桜の渡し)を利用しました(渡しは、昼夜の区別なく運行され、無賃)。

度会橋が架かるのは明治44年のこと。
「お伊勢さんほど大社はないが、なぜに宮川橋がない」と、橋のない宮川は歌になっていたほどです。

伊勢本街道(大和・紀州から初瀬街道を通る旅人が利用)の「上の渡し」は「柳の渡し」といわれ、現在の宮川橋近くに渡し場がありました。
このほか、地元の人が利用した「磯の渡し」がありました。

「一目千本桜」といわれる見事な桜並木が健在!

宮川堤には今も1kmにわたって「一目千本桜」といわれた桜並木が続いています。
ソメイヨシノとヤマザクラが中心で、開花時期には多くの花見客が訪れます。
明治時代のガイドブック『三重県案内』には「桜樹数万株あり、花季は爛漫として一望雲の如し」と記されています。
例年、桜の見頃は3月下旬〜4月上旬頃。

例年、桜の開花期間中に宮川堤公園で『宮川堤の春まつり』が行なわれ、18:00~22:00の間、ライトアップが実施されます。

宮川橋下流の宮川左岸には「宮川親水公園」、宮川橋下流の宮川右岸には「宮川スポーツグラウンド」、宮川大橋近くの宮川右岸には「宮川ラブリバー公園」が整備されています。

宮川は日本を代表する清流で聖なる川!

大台ヶ原山に源を発し、三重県南部を流れる一級河川・宮川(延長91km)は国土交通省の一級河川水質調査でも全国トップクラスの水質を誇る清流(平成18年から6年連続全国1位だったことも)。
下流に神宮(伊勢神宮)があることから、治水は必須で、神宮を重視した豊臣秀吉、徳川幕府時代には山田奉行所により治水工事が行なわれています。

そんな宮川は、「豊受宮(とようけのみや=神宮の外宮)の禊川(みそぎのかわ)」から宮川と呼ばれるように、かつて橋のない時代(江戸時代以前)には、この川で罪と穢(けがれ)を祓ってから神聖な気持ちで神宮の聖域へと入ったのです。

宮川は、古くはたびたび水害を起こしていましたが、1633(寛永10)年、庄屋・松井孫右衛門が人柱になることを申し出て、それ以来、決壊しなくなったとの言い伝えも残っています。

宮川堤
名称 宮川堤/みやがわつつみ
所在地 三重県伊勢市中島・宮川
関連HP 伊勢志摩観光コンベンション機構公式ホームページ
電車・バスで JR・近鉄伊勢市駅からバス松阪駅前、または、玉城町役場、度会町行きで5分、度会橋下車、すぐ
ドライブで 伊勢自動車道伊勢西ICから約5km
駐車場 200台/無料(桜まつり期間は臨時駐車場開設)
問い合わせ 伊勢市観光協会 TEL:0596-28-3705
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

 

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