金剛證寺

金剛證寺

三重県伊勢市、朝熊山(あさまやま)の山上に建ち、創建は欽明天皇の御代(6世紀後半)と伝えられる臨済宗南禅寺派の古刹が金剛證寺(こんごうしょうじ)。神宮(伊勢神宮)の鬼門を守る寺として、昔から神宮との関係も深く、「お伊勢参れば朝熊(あさま)をかけよ朝熊かけねば片参宮(かたまいり)」と『伊勢音頭』に唄われています。

伊勢参りのゴールは、朝熊山だった!

金剛證寺

天長2年(825年)には、空海(弘法大師)が真言密教の根本道場を建立。
明徳2年(1392年)、鎌倉建長寺5世・仏地禅師が入山し寺を再興、臨済宗に改宗しています。
神仏習合の時代、本尊・虚空蔵菩薩(こくぞうぼさつ)の眷属(けんぞく=従者)・雨宝童子(うほうどうじ)は、神宮(内宮)に祀られる天照坐皇大御神(あまてらしますすめおおみかみ)の化現(本来は仏ですが、日本の神に姿を変えて出現)だとされ、神宮の奥の院として機能していました。

神仏習合の時代、伊勢神宮も現在のおかげ横丁一帯には寺が並んでいたのです。
金剛證寺の木造雨宝童子立像(国の重要文化財)は、寺伝によれば空海が金剛證寺で修行中、天照大神16歳の姿を彫ったと伝えています。
空海に始まる真言密教の神道解釈(両部神道)で、天照大神が日向(ひゆうが)に下生(げしよう)したときの姿が雨宝童子というわけなのです。
こうして金剛證寺は、「神宮の鬼門守護の寺」として注目され、伊勢信仰の隆盛とともに伊勢神宮に参拝した後には必ず立ち寄る寺となったのです。
しかも、江戸時代には、この雨宝童子こそが、お伊勢参りのご神体であるとまでいわれ、庶民は朝熊山を目指したのです。
金剛證寺が「明治初年の神仏分離の際、伊勢参詣から外されてしまった」というのはそのため。

伊勢神宮にも文武天皇2年(698年)、神宮寺が建てられ、神仏習合が進みます。

現存する本堂(魔尼殿)は、慶長14年(1609年)、姫路藩初代藩主・池田輝政(いけだてるまさ)の寄進。
唐様建築で国の重要文化財に指定されています。

本堂内陣には厨子内に秘仏の虚空蔵菩薩像が安置され、神宮(内宮)の祭神・天照坐皇大御神を現す大きな鏡も祀られています。

その歴史を反映して、中世の貴族達が朝熊山山頂に埋めたとされる朝熊山経塚群からの出土品「経ヶ峯出土品」(国宝)をはじめ、源義朝が佩用していたと伝わる太刀など、国の重要文化財に指定されている宝物も多数。

本尊の福威智満虚空蔵大菩薩(秘仏)は、日本三大虚空蔵菩薩で、20年に一度のご開帳が行なわれています(前回は2014年)。
6月下旬~8月の睡蓮、6月下旬~7月上旬のアジサイも有名。
子宝に恵まれない人々に広く信仰されている「おちんこ地蔵」も必見です。

戦前は多くの参詣者であふれ、大正14年には朝熊登山鉄道によりケーブルカーが開通。
参道に「萬金丹」を売る店が軒を並べたというのも昔話になっています。

名称 金剛證寺/こんごうしょうじ
所在地 三重県伊勢市朝熊町548
電車・バスで 近鉄鳥羽線朝熊駅からタクシーで30分
ドライブで 伊勢自動車道伊勢西ICから約9.5km
駐車場 100台/無料
問い合わせ TEL:0596-22-1710
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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