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藤原宮跡

藤原宮跡

奈良県橿原市(かしはらし)、大和三山に囲まれた日本最初の本格的な皇宮の遺構が、藤原宮跡(ふじわらきゅうせき)。持統天皇8年(694年)完成で、平城京遷都までの16年間、持統、文武、元明の天皇3代が律令国家体制を強力に推進した宮殿の跡です。世界遺産登録を目指す「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」の構成資産のひとつ。

唐の長安城を模した日本最古の本格的な都

朝堂院南門跡と耳成山

藤原京の規模は東西5.3km、南北4.8kmで、碁盤目状に道路を通した中心部にあった宮城が、藤原宮(ふじわらのみや)です。

中国の隋・唐、そして朝鮮半島に会った高句麗・新羅・百済との交流を通じ、先進の文化と制度、さらには仏教を取り入れ、律令制度に基づいた中央集権国家が誕生したことを告げる貴重な宮殿遺跡で、その6割が国の特別史跡にもなっています。

持統天皇8年(694年)12月6日、飛鳥浄御原宮(あすかのきよみはらのみや=飛鳥宮跡/奈良県明日香村)から藤原京に遷都され、和銅元(708年)、唐の「開元通宝」をモデルに最初の正式な通貨である和同開珎(わどうかいちん)が発行されたのも藤原宮です(和同開珎以前には富本銭がありましたが、どこまで流通していたのか定かでありません)。

和銅3年(710年)3月10日に平城京に移るまで、わずか16年の都であったため、藤原京の真北である平城京に遷都された後は荒廃し、その後はのどかな田園地帯になっていました。
1キロ四方の宮殿は、天皇の居住区のほか、政務や儀式の空間、役所などが集約されており、天皇の住まいである内裏(だいり)や、政庁である大極殿(だいごくでん)、儀式を行なった朝堂院(ちょうどういん)の跡が残り、発掘調査が続けられています。
平城京への遷都に際し、主要な建物も解体されて移築、平城宮大極殿も藤原宮からの移築と推測されています。
その大極殿跡一帯は史跡公園として整備され、見学が可能です。

宮殿の周囲の都城・藤原京には官人らが居住し、仏教による鎮護国家を象徴する2つの官寺(大官大寺・本薬師寺)が藤原宮の南に配されていました(当時の僧侶は現代風にいえば国家公務員でした)。
また、天皇陵や墳墓を京外の南方、宮殿の真南を意識して配置するなど、都市計画も行なわれ、こうした部分は後の平城京や平安京の原型にもなっています。

ちなみに日本初の瓦葺き宮殿である藤原宮に瓦を供給したのは、讃岐国(香川県)の宗吉瓦窯(むねよしかわらがま=香川県三豊市に宗吉瓦窯跡史跡公園として整備されています)。

大極殿跡

藤原京の規模は古代の首都では最大!

「春過ぎて夏来るらし白栲の衣乾したり天の香久山」は『万葉集』にも収録され、百人一首で知られる持統天皇の歌。
実はこの歌が詠まれたのが藤原宮。
大小の道路によって区画された町は、南北の単位を条、東西を坊と呼ぶことから条坊制と呼ばれています。
その規模は、平城京や平安京をもしのぎ、古代で最大の首都になっています。

藤原宮の中心には政庁である大極殿・朝堂院が置かれ、その北に皇居である内裏がありました。
官営の大寺院として大官大寺と薬師寺とが創建されましたが、後に平城京へと移り、大安寺と薬師寺(西の京)となって現存しています。
藤原京時代の薬師寺東塔跡の礎石も橿原市城殿町の本薬師寺跡に残されています。

この藤原宮の位置を定める際に、三山鎮護の思想から重要な役割を担ったのが大和三山。
なかでも香久山(152.4m)はとくに重要な役割を占め、『古事記』や『日本書紀』、『万葉集』にも天と結びついた山という意で、「天香具山」と記されています。

発掘調査の成果は、天香久山山麓の奈良文化財研究所「藤原宮跡資料室」に展示紹介されているので時間があれば寄り道を。

画像協力/世界遺産「飛鳥・藤原」登録推進協議会

藤原宮跡から眺める天香具山
藤原宮跡
名称藤原宮跡/ふじわらきゅうせき
所在地奈良県橿原市高殿町
関連HP橿原市公式ホームページ
電車・バスで近鉄大阪線耳成駅から徒歩20分
ドライブで西名阪自動車道郡山ICから約15km
駐車場20台/無料
問い合わせ橿原市観光交流センター「かしはらナビプラザ」 TEL:0744-47-2270
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

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