奈良県吉野郡吉野町、吉野山中千本にある役行者(えんのぎょうじゃ=役小角・えんのおづの)が開いた大峰山(大峯山)の護持院が、東南院。役行者は、大峰山開山・金峯山寺創建の際、巽(東南)の方角に護持院を建立して一山の安泰と興隆を祈願したと伝えられ、吉野山のルーツ的な存在の寺です。
金峯山寺の鬼門封じで役行者が創建!
本尊として祀られるのは、役行者神変大菩薩、不動明王、金剛蔵王大権現。
家内安全、身体健全、病気平癒などの祈祷を行なう祈祷寺院であるほか、夏には一般に公募しての「大峯奥駈修行」も執り行なわれています。
寛治6年(1092年)、白河上皇が金峯山参詣の際には、東南院を宿坊としているなど、宿坊としての歴史も有し、覚明(かくめい)も東南院に入門し、修験の奥義を究めた後、天明5年(1785年)、御嶽山を開山したと伝えられています(覚明に関して吉野山での修行は史料的な裏付けはありません)。
多宝塔は明治初年まで、紀伊(和歌山県)の野上八幡宮(現・和歌山県海草郡紀美野町)にあったもので(神仏分離令により境内から本願寺、神宮寺、不動堂、本地堂が撤去)、数度の移築を経て、昭和12年に吉野山へ。
鎌倉期の作と伝えられる大日如来・毘沙門天・不動明王が祀られています。
松尾芭蕉は貞享元年(1684年)秋の『野ざらし紀行』の旅、貞享4年(1687年)春の『笈の小文』の旅と、二度、吉野山を訪れ、奥千本・西行庵などに足を伸ばしていますが、東南院の庭にも「砧打ちて我にきかせや坊が妻」(『野ざらし紀行』)の句碑が立っています。
「ある坊に一夜を借りて」との前詞があるので、東南院などの宿坊に泊まったことが推測できます。
吉野山の金峯山寺(きんぷせんじ)、如意輪寺、竹林院、櫻本坊、喜蔵院、善福寺、大日寺とともに役行者ゆかりの役行者霊蹟札所(36ヶ寺)のひとつで、大峰山・山上ヶ岳に宿坊の東南院山上参籠所を営んでいます。
近くには吉水神社、韋駄天山、柿の葉寿司の「柿の葉すしたつみ」、「柿の葉すし醍予」などもあり、吉野山観光の拠点のひとつになっています。
大峰山護持院5ヶ寺とは!?
大峰山護持院とは、大峰山を護持している5ヶ寺のことで、吉野山の櫻本坊(金峯山修験本宗)、東南院(金峯山修験本宗別格本山)、竹林院(単立寺院)、喜蔵院(本山修験宗)と、洞川の龍泉寺(真言宗醍醐派)で、大峯山寺本堂近くに5ヶ寺の宿坊があります(山伏・行者だけでなく、一般の修行者・登山者も受け入れ、裏行場の先達もお願いできます)。
また、護持院が年毎に交替で、護摩の導師を務め、戸開け・戸締めの行事を行なっていて、役行者が創始した修験道(白鳳時代に役行者が山上ヶ岳で、1000日間の参籠修行で金剛蔵王大権現を感得、修験道の本尊として祀り、修験道を創始)を今に伝える貴重な寺となっています。
今なお多くの修験者が自己を見つめ直し、魂を再生させるため、山に入りますが、その手助けをするのが、護持院です。
東南院 | |
名称 | 東南院/とうなんいん |
所在地 | 奈良県吉野郡吉野町吉野山2416 |
関連HP | 吉野山観光協会公式ホームページ |
電車・バスで | 近鉄吉野駅から徒歩40分。または、ロープウェイ吉野山駅から徒歩15分 |
ドライブで | 西名阪自動車道郡山ICから約33km |
駐車場 | 下千本駐車場(100台/観桜期は有料)など周辺の有料駐車場を利用、観桜期〜GWには周辺に交通規制が実施されるため臨時開設される郊外駐車場(シャトルバス料込で有料)を利用 |
問い合わせ | 東南院 TEL:0746-32-3005 |
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