【なかもりトピックス】vol.4 “地底ドームの縄文樹林” 驚きの絶叫!がコダマする

「エッ!」、「オォー」・・・。地上の入口から階段を下りて現れた異様な地下空間に旅人たちの驚きの絶叫がこだました。それは30数年前、中国西安市郊外の「秦の始皇帝陵墓」そばの地下軍団「兵馬俑」を筆者が見た折り、まわりの外国人観光客たちの反応とよく似ていた。

島根県太田市、三瓶小豆原(さんべあずきはら)埋没林

▲標高400m地点の平坦な三瓶小豆原埋没林公園の一隅に目立たない小さな地下への入口(下段左)。
地下ドームの空間は異次元の世界。タイムスリップした気分にさせる。

掘り下げられた地下空間はビル5階に相当する高さ14m、最大直径30mのドーム型。
その中に4000年前の縄文時代に生育した巨大樹林が直立状態で7本、横たわる巨木が約10本、根元には流木や落葉の層まで見える。
次第に気分が高揚してきた。

土地改良工事で偶然発見された4000年前の巨大樹林が甦る

最大級の巨木は上部を切られていながら高さ12m、根回り10mの大杉(推定樹高約50m)。
その威容に目を奪われ自然への畏敬を感じる。
埋没林公園から南西9kmの三瓶山(1126m)大噴火の土石流で埋もれたトチ、ケヤキ、カシなどの鬱蒼たる樹林群は放射性炭素計器によって分析された。
埋没林の発見は偶然だった。

昭和58年(1983年)山間部の小さな区割りの田んぼをひとつにまとめる改良工事のさなか、耕運機の刃先が土中の固形物に当たり、不審に思い掘りさげて確認された。
埋め戻す前に工事担当者の撮影した写真が15年後、地質学者の目に留まり世界的な希少価値のある大発見につながった。

※秦の始皇帝陵墓近くで「兵馬俑」の大発見は、農民が畑仕事で打ち下ろした鍬の刃先に土偶の兵士の頭が偶然、触れたからだった。

▲4000年前の縄文期の巨大杉。樹皮が剥がれないように砂糖液を表面に塗り固め酸化防止の処理がされている(左)。
埋没時の樹木の年輪で樹齢年と古代林の自然環境が分かる(右)。

平成16年(2004年)に国指定の天然記念物と認定。
まもなく総工費11億円を投入して現在の地下ドームに原始の森が再現された。
定期的に開かれるドーム内に設置されたプラネタリュムが四季の星座を天蓋に映し出され幻想の世界を披露されるという。

この地底ドームも“知る人ぞ知る”で年間観覧者は2万人と横ばい。
PR不足を嘆く人が多い。

掲載の記事は、ジャーナリスト・中森康友氏(日本旅行作家協会会員)の配信するメルマガ『なかもりトピックス』を転載したものです。

三瓶小豆原埋没林公園
名称 三瓶小豆原埋没林公園/さんべあずきはらまいぼつりんこうえん
所在地 島根県大田市三瓶町多根ロ58-2
関連HP 三瓶小豆原埋没林公園公式ホームページ
電車・バスで JR山陰本線大田市駅からタクシーで25分
ドライブで 山陰自動車道出雲ICから約34km
駐車場 20台/無料
問い合わせ さんべ縄文の森ミュージアム(三瓶小豆原埋没林公園) TEL:0854-86-9500/FAX:0854-86-9501
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

 

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ジャーナリスト、もとスポーツニッポン新聞社編集委員。内外メディア通信社ライター、日本旅行作家協会会員、ラジオ・テレビ・レジャー記者会会員、薩摩大使(鹿児島県)、美ら島沖縄大使、富山ふるさと大使。メールマガジン版「なかもりトピックス」を配信中。

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