南都とは、奈良時代に都があった現在の奈良市のこと。和銅3年(710年)の平城京遷都後、南都(奈良)とその周辺にあった朝廷の保護を受けた東大寺、西大寺、法隆寺、薬師寺、大安寺、元興寺、興福寺の7ヶ寺が南都七大寺(なんとしちだいじ)。奈良時代、主要な寺は官寺(国営)で、僧侶は現在の国家公務員にあたります。
天平文化を支えた7つの大寺
奈良時代、平城京を中心に栄えた日本仏教の6つの宗派が、南都六宗。
三論宗(さんろんしゅう/元興寺・大安寺)、成実宗(じょうじつしゅう/元興寺・大安寺)、法相宗(ほっそうしゅう/興福寺・薬師寺)、倶舎宗(くしゃしゅう/東大寺・興福寺)、華厳宗(けごんしゅう/東大寺)、律宗(りっしゅう/唐招提寺)の6つです。
聖武天皇が諸国に国分寺(金光明四天王護国之寺)、国分尼寺(法華滅罪之寺)を建立したように、朝廷には仏教を国家鎮護に使う目的があり、仏教と朝廷は密接な関係がありました。
また、有力な貴族は氏寺を造営しています。
中国から導入された文化は、平城京で日本文化へと昇華しますが、同時に、仏教と政治との癒着、仏教の政治への介入などもあり、桓武天皇の平安京遷都は、それまでの貴族や仏教勢力との決別との意味合いがあったのです。
東大寺
所在地:奈良県奈良市雑司町406-1
現在の宗派:華厳宗
寺格:大本山
創建:天平5年(733年)/『東大寺要録』
開基:聖武天皇
本尊:盧舎那仏
備考:世界文化遺産「古都奈良の文化財」
西大寺
所在地:奈良県奈良市西大寺芝町1-1-5
現在の宗派:真言律宗
寺格:総本山
創建:天平神護元年(765年)
開基:孝謙上皇
本尊:釈迦如来
備考:境内は国の史跡で国宝、重要文化財を多数収蔵
法隆寺
所在地:奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺山内1-1
現在の宗派:聖徳宗
寺格:総本山
創建:推古天皇15年(607年)/『上宮聖徳法王帝説』
開基:推古天皇、聖徳太子
本尊:釈迦如来
備考:世界文化遺産「法隆寺地域の仏教建造物」
薬師寺
所在地:奈良県奈良市西ノ京町457
現在の宗派:法相宗
寺格:大本山
創建:天武天皇9年(680年)
開基:天武天皇
本尊:薬師三尊
備考:世界文化遺産「古都奈良の文化財」
大安寺
所在地:奈良県奈良市大安寺2-18-1
現在の宗派:高野山真言宗
創建:飛鳥時代
開基:舒明天皇
本尊:十一面観音
備考:病気平癒・癌封じで有名
元興寺極楽坊
所在地:奈良県奈良市中院町11
現在の宗派:真言律宗
創建:推古天皇元年(593年)
開基:蘇我馬子
本尊:智光曼荼羅
備考:世界文化遺産「古都奈良の文化財」、蘇我氏の氏寺・法興寺(仏法が興隆する寺の意)の後身
興福寺
所在地:奈良県奈良市登大路町48
現在の宗派:法相宗
寺格:大本山
創建:天智天皇8年(669年)
開基:藤原不比等
本尊:釈迦如来
備考:世界遺産「古都奈良の文化財」、南円堂(本尊:不空羂索観世音菩薩)、は西国三十三所第9番札所、藤原氏の氏寺
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