親不知コミュニティロード

富山県との県境に近い県南西端・糸魚川市市振(旧青海町)にあり、北アルプスが日本海に落ち込んでできた断崖が親不知・子不知(おやしらず・こしらず)。その北陸道最大の難所の旧国道を遊歩道として整備したのが親不知コミュニティロードです。天険コミュニティ広場駐車場を起点に散策が可能です。

明治の国道開通までは海岸か厳しい山越えの道だった

かつてはこんな波打ち際を歩き、緊急避難の海蝕洞も残されています

親不知・子不知は、高さ300m〜400mの急崖が約15kmにもわたって続く、北陸道最大の難所。
親子を顧みる余裕もないほどの険しさから、親不知・子不知の名があるとか。

平安時代末、平清盛の弟、池中納言・平頼盛が越後五百刈村(現在の長岡市)に落ち延びた際、夫の後を慕って、ここを通りかかった夫人が、2歳の愛児をふところから落として波にさらわれてしまいました。
そのときに詠んだ歌が「親不知 子はこの浦の波枕 越路の磯の 泡と消え行く」で、これが親不知・子不知の名の由来とも。

明治時代までは海岸沿いの波間を見計らって狭い浜を抜けるのが北陸道で、大名行列も高波の際には前後の宿場で立ち往生しました。
明治16年に断崖を削って初めて国道が開通し、明治45年に北陸本線が開通。

後に国道8号、北陸本線とも新ルートとなったため、明治16年開通の国道8号の旧道が親不知コミュニティロードとして整備され、旧北陸本線のトンネルも「親不知レンガトンネル」として保存整備され、周回できるハイキングコースになっています。

旧国道が親不知コミュニティロードに変身

現・国道8号と北陸自動車道を眺望

親不知コミュニティロードは、国道8号天険トンネルが開通する以前の旧国道。
現在は糸魚川市道の天険親不知線(てんけんおやしらずせん)で、歩行者専用道。
日本の道100選、土木学会選奨土木遺産にも選定されています。

親不知コミュニティロードの散策は、親不知観光ホテル前の天険コミュニティ広場駐車場が起点。
ここから旧国道を歩くのが親不知コミュニティロード。
親不知コミュニティロードを歩けば、ジオサイトの解説のある東屋、そしてウエストンの像、さらには岩壁に工事関係者が刻んだという「如砥如矢」の文字、そして西側遊歩道の下り口が。
西側遊歩道を下れば(急な階段)、旧北陸本線レンガトンネルの西側入口で、トンネルを出て、東側遊歩道を上れば(急な階段)、スタート地点の天険コミュニティ広場駐車場。

なお、天険コミュニティ広場駐車場から階段を海側に下れば、旧北陸本線レンガトンネルの東側入口。ここからさらに階段を下れば、海岸に出ます(高波に注意)。

旧国道は土木学会推奨土木遺産、糸魚川ユネスコ世界ジオパークの親不知ジオサイトに登録されています。

ウエストンの像
ウエストンの像
如砥如矢
コミュニティロードの岩壁に、明治16年の道路開通を祝って刻まれた「如砥如矢」(とのごとくやのごとし)の文字が。
「切り開かれた道が、砥石のように平らで矢のように真っ直ぐだ」の意。

『日本アルプス―登山と探検』の著者、ウォルター・ウエストン(Walter Weston)は、明治27年7月19日に日本アルプスの起点でもあるこの旧国道を通っています。
そして、“To no gotoku, ya no gotoshi” (“As smooth as a whetstone’ and as straight as an arrow”)と記しています。
5月最終日曜には『親不知・海のウエストン祭』が行なわれ、ウエストン像に献花した後、白鳥山(1287m)山開きが行なわれています。

ちなみに、親不知・子不知といいますが、親不知駅がある歌(うた)の集落を中心に、西の市振(いちぶり)地区までが親不知、東の勝山(かつやま)地区までが子不知(こしらず)となっています。

岩に刻まれる「如砥如矢」
親不知コミュニティロード
名称 親不知コミュニティロード/おやしらずこみゅにてぃろーど
所在地 新潟県糸魚川市市振
関連HP 糸魚川市観光協会公式ホームページ
電車・バスで JR親不知駅から徒歩20分
ドライブで 北陸自動車道親不知ICから約1.5kmで天険コミュニティ広場駐車場
駐車場 天険コミュニティ広場駐車場(20台/無料)
問い合わせ 糸魚川市観光協会観光案内所 TEL:025-553-1785
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

 

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