新潟県新潟市中央区稲荷町にある湊稲荷神社(みなといなりじんじゃ)。享保元年(1716年)創建の小さな社ですが、鎮守の森を入港の目印にした北前船の船乗りたちの信仰を集め、さらに花街の遊女や芸妓が狛犬(高麗犬)に願掛けすることから、願懸の高麗犬と呼ばれるようになったもの。
日本唯一の回る狛犬
享保元年(1716年)、米沢藩上杉家の家臣・前川三城が、神託で米沢(現・山形県米沢市)から遷したもの。
以来、海の守護神として、湊に来航する船乗りの信仰を集めました。
その一方で、古町(花街)の遊女、芸妓たちは、荒天が続けば海の男たちがなかなか出航できず、その結果、新潟湊に長く滞在してくれることから、西風が吹いて海が荒れることを願い、高麗犬の頭を西に向けたのだとか。
それが今に伝わる「回る高麗犬」の起源で、やがて「願懸の高麗犬(がんかけのこまいぬ)」と呼ばれるようになったもの。
湊稲荷神社は、道楽稲荷とも呼ばれていますが、花柳界の信仰を集めたゆえの通称。
高麗犬の台座と像に軸を差し込み、像と台座との間に0.5cmほどの隙間を置くことで、グルリと回る構造になっているのです。
高麗犬の前には、「自分の願意を心に念じながら男の人は向かって右、女の人は左の高麗犬を回して祈願して下さい」と書かれた立て札があります。
現在の高麗犬は3代目で、拝殿に保存される2代目の高麗犬(新潟市有形文化財第1号)には、幕末の嘉永7年(1854年)奉納の銘が残されていますから、まさに北前船全盛の時代。
ご祈祷、お祓い、朱印なども受け付けているほか、お守りなどの授与品も。
遊女が高麗犬を回した荒天を祈願したという湊稲荷神社の願懸の高麗犬は、日本遺産「荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間~北前船寄港地・船主集落~」の構成資産にもなっています。
湊稲荷神社(願懸の高麗犬) | |
名称 | 湊稲荷神社(願懸の高麗犬)/みなといなりじんじゃ(がんかけのこまいぬ) |
所在地 | 新潟県新潟市中央区稲荷町3482 |
関連HP | 湊稲荷神社公式ホームページ |
電車・バスで | JR新潟駅万代口から柳都大橋線入船営業所行きで稲荷町下車、徒歩2分。または、新潟市観光循環バス朱鷺メッセ先回りで歴史博物館前下車、徒歩3分 |
ドライブで | 日本海東北自動車道新潟亀田ICから約8km。または、磐越道新潟中央ICから約9km、北陸自動車道新潟西ICから約10km |
駐車場 | あり |
問い合わせ | 湊稲荷神社 TEL:025-222-6549/FAX:025-222-6549 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
最新情報をお届けします
Twitter でニッポン旅マガジンをフォローしよう!
Follow @tabi_mag