夏の美ヶ原は霧がかかることが多く「3日に1度は濃霧」といわれるほど。かつては広い草原で霧が原因で遭難することもあり、昭和29年10月30日に霧鐘を備えた高さ6mの避難所が造られました。これが美ヶ原のシンボルである美しの塔。高さ6mの塔は地元で産する鉄平石で造られていて、昭和59年5月に改築され高さ6.6mになっています。
美ヶ原高原のシンボルは鉄平石でできた霧鐘塔
壁面のレリーフは、昭和8年にそれまで無人だった美ヶ原に、山小屋(山本小屋)を建設、登山道の整備などに尽力した山本俊一翁。
塔の南面には美ヶ原を愛した自然詩人・尾崎喜八(おざききはち)の『美ガ原溶岩台地』の「登りついて不意にひらけた眼前の風景に しばらくは世界の天井が抜けたかと思う。やがて一歩を踏みこんで岩にまたがりながら、この高さにおけるこの広がりの把握になおもくるしむ」という詩が刻まれています(というわけで、「日本一の文学碑」ともいわれています)。
この、「登りついて不意にひらけた」という感覚は、松本側の三城(さんじろ)から九十九折の百曲りを登りつめて、高原台地に立った時の感想。
現在ではビーナスラインを車で到達する人が多いので、この「世界の天井が抜けたかと思う」という感動を得ることができません。
ちなみに、以前、美ヶ原は溶岩台地だと考えられていましたが、現在では安山岩質の組成を持つ火山の浸食地形と推測されています。
毎年4月25日には、美しの塔の前で開山祭が行なわれています。
山本小屋を美ヶ原に建てた山本俊一。
山の頂上は神聖にして侵すべからざるところだったため、山本小屋(現・「星空へ続く宿 山本小屋ふる里館」)は意図して稜線下に建てられています。
美しの塔の周辺には「神聖にして侵すべからざるところ」という山本俊一翁の方針もあって、今も夜は真っ暗。
夜空を見上げる天体観測には絶好のスポットになっています。
美しの塔 | |
名称 | 美しの塔/うつくしのとう |
所在地 | 長野県小県郡長和町美ヶ原 |
関連HP | 美ヶ原観光連盟公式サイト |
電車・バスで | JR松本駅前の松本バスターミナルから松本電鉄バス美ヶ原高原美術館行きで1時間23分、山本小屋下車、徒歩15分 |
ドライブで | 長野自動車道松本ICから約30kmで美ヶ原高原駐車場。岡谷ICから約36kmで長和町営駐車場 |
駐車場 | 長和町営駐車場(60台/無料)、山頂駐車場は美ヶ原台上駐車場(800台/無料)、美ヶ原高原駐車場(150台/無料) |
問い合わせ | 長和町役場産業振興課 TEL:0268-88-2345 |
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