東北にある国宝建築物は、6ヶ所。最北の国宝建築物は、中世の藤原文化を今に伝える中尊寺金色堂(岩手県)です。福島県の白水阿弥陀堂ともに、京で隆盛した末法思想・浄土信仰が東北まで到達していたことを表しています。宮城県の国宝3件はすべて伊達文化。山形県の羽黒山五重塔は、東方最古の塔で、出羽三山の信仰を伝えています。
岩手県
中尊寺金色堂 【奥州藤原文化】
所在地:岩手県西磐井郡平泉町平泉衣関202
建立年:天治元年(1124年)/平安時代
建立者:藤原清衡
現在の宗派:天台宗(東北大本山)
阿弥陀堂の本尊:阿弥陀如来坐像
備考:世界文化遺産「平泉―仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群―」の構成資産、日本最北の国宝建築物
宮城県
瑞巌寺本堂 【伊達文化】
所在地:宮城県宮城郡松島町松島町内91
建立年:慶長14年(1609)/江戸時代
建立者:伊達政宗
現在の宗派:臨済宗妙心寺派
本尊:聖観音菩薩
備考:桃山様式の方丈で、仙台藩お抱え絵師である狩野左京、長谷川等胤らの襖絵障壁画が見事
瑞巌寺庫裏 【伊達文化】
所在地:宮城県宮城郡松島町松島町内91
建立年:江戸時代初期
建立者:伊達政宗
現在の宗派:臨済宗妙心寺派
備考:禅宗寺院の台所で、「日本三大庫裏」(瑞巌寺庫裏・妙心寺庫裏・妙法院庫裏)のひとつ
大崎八幡宮 本殿・石の間・拝殿 【伊達文化】
所在地:宮城県仙台市青葉区八幡4-6-1
建立年:慶長12年(1607年)/江戸時代
建立者:伊達政宗
主祭神:応神天皇、仲哀天皇、神功皇后
備考:日光東照宮などと同じ「権現造」形式です(日光東照宮よりも建立は早く、大崎八幡宮の「権現造」が日光東照宮に反映)
山形県
羽黒山五重塔 【出羽三山信仰/修験道+山岳信仰】
所在地:山形県鶴岡市羽黒町手向7
塔高:29.2m
建築年:文中元年(1372年)/南北朝時代
備考:明治の神仏分離以前は、近世までは出羽三所大権現(神仏習合)の一つ、羽黒権現の塔で、塔内に聖観音、軍荼利明王、妙見菩薩を安置していました
福島県
白水阿弥陀堂 【奥州藤原文化関連】
所在地:福島県いわき市内郷白水町広畑219
建立年:永暦元年(1160年)/平安時代
建立者:岩城則道(いわきのりみち)の正室・徳姫(藤原清衡の娘)
現在の宗派:真言宗智山派
阿弥陀堂の本尊:阿弥陀如来坐像
備考:寺の正式名は願成寺、浄土式庭園も現存
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