日本で一番寺院が多い都道府県はどこ!? TOP30を紹介

文化庁宗務課が毎年公表する『宗教年鑑』(令和6年版)によれば、全国の都道府県でもっとも寺院の数が多いのは京都府、奈良県ではなく、愛知県。なんと京都府3049に対して、4517と、1.5倍もの寺院数を誇っています。なぜ、愛知県に寺が多いのかは、戦国時代まで遡る理由もありそうです。

三英傑を生んだ愛知県が、ダントツ首位にはワケがある!

豊川稲荷も寺院として存続

明治初年に吹き荒れた神仏分離、廃仏毀釈の嵐で、古刹、名刹を含めて全国で数多くの寺が廃絶。
僧侶はいったん還俗(げんぞく)し、神職に転じるなどしたのです。
それまで祇園精舎の守護神だった牛頭天王を祀った寺も祇園社に、比叡山延暦寺の鎮守・山王権現は日枝神社になるなど、神仏習合の地の多くは神社となって存続しました。

鹿児島県(薩摩藩)などでは、廃仏毀釈の嵐が吹き荒れ、寺の数も激減しています。

愛知県で寺の数が多いのは、徳川家康が一向一揆に悩まされたように、とくに三河(愛知県東部)では浄土真宗の本願寺門徒が多かったことがあげられます。
さらに地元で「三英傑」と称される織田信長、豊臣秀吉、徳川家康を生んだ土地柄、信長が今川義元を破った桶狭間の戦い(おけはざまのたたかい)、織田徳川連合軍と武田勝頼との長篠の戦い(ながしののたたかい)、織田信長没後に秀吉と家康が覇権を争った小牧山の戦いなど、戦国時代には戦闘に明け暮れた土地柄で、領主たちが寺院を保護したことも大きな理由。

また東西交流の拠点で、浄土真宗、禅宗、浄土宗を中心に、多様な宗派が共存する土地柄という点も大きな理由。

織田信長や徳川家康も、当初は本願寺門徒による一向一揆を弾圧しましたが、後に保護協調政策に転じているのです。

また近世の城下町には防御の拠点として寺町を形成、清須からの城下町の大移転「清須越し」で誕生した名古屋城下にも寺町(東別院・西別院エリア、建中寺周辺、大須など)が形成されています。

また江戸時代には檀家制度が充実し、檀家寺がたくさん必要となり、寺院数も増加。
御三家筆頭・尾張徳川家ということもあってか、明治維新の廃仏毀釈の荒波もさほどではなく(西三河では廃仏毀釈に反対する「大浜騒動」が勃発)、多くの寺が生き延びたのです。
有名な豊川稲荷は、神社と思う人も多いのですが、寺院(豊川閣妙厳寺)として存続しています。

ちなみに大手生命保険会社の調査で、初詣の賽銭投入額も全国平均の3倍ほどの額というデータもあり、戦国時代にはいち早く兵農分離が進んだ米作を基盤とした経済力、戦後は自動車産業などものづくりの繁栄など。豊かな財力が寺院と檀家制度が寺院を支えてきたのだといえるでしょう。

都道府県別寺院数 TOP30

順位都道府県名寺院数
1位愛知県4517
2位大阪府3369
3位兵庫県3287
4位滋賀県3195
5位京都府3049
6位千葉県3006
7位東京都2886
8位新潟県2742
9位静岡県2609
10位福岡県2357
11位三重県2343
12位北海道2308
13位埼玉県2277
14位岐阜県2238
15位神奈川県1906
16位奈良県1802
17位広島県1702
18位福井県1670
19位和歌山県1584
20位福島県1530
21位長野県1529
22位富山県1510
23位山形県1475
24位山口県1416
25位岡山県1391
26位石川県1351
27位茨城県1299
28位島根県1287
29位大分県1233
30位群馬県1207
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