岡山県備前市閑谷、寛文10年(1670年)、岡山藩主・池田光政(いけだみつまさ)によって創建された岡山藩直営の庶民教育のための学校・学問所の跡で、国の特別史跡になっている旧閑谷学校。現存する世界最古の庶民教育の場で、国宝に指定されるのが、中心施設の旧閑谷学校講堂です。
国宝に指定される江戸時代の学校建築
寛永18年(1641年)、全国初の藩校・花畠教場を開校し、閑谷学校の本格的な建設が始まったのは寛文10年(1670年)のこと。
藩主・池田光政は、庶民の子弟を育成することは藩の発展につながると考え、家臣の津田永忠(つだ ながただ)に学校の建設を命じています。
これが閑谷学校です。
現存する講堂は、元禄14年(1701年)の再建で、国宝。
郷学とはいうものの、当時の藩学をしのぐ規模を有し、江戸時代の学校建築としては最古かつ最もよく整った遺構ということで、国の特別史跡になっていますが、なんといっても見どころは、この講堂。
三間×二間の母屋の周囲に広い庇(ひさし)を巡らせ、その外側に柱を立て、幅1.7mほどの縁を設けた形で、通常は開けっ放しで、夜間のみ雨戸を閉じるスタイル。
母屋、庇とも拭板敷(ぬぐいいたじき=表面を鉋などで研磨し、滑らかにした板)で、境に無目敷居を入れていますが、この拭板敷がつやつやと周囲を写し込み、独特の雰囲気を醸し出しています。
外観的には扉を除いて唐様の大きな花頭窓(かとうまど)が並び、学校建築らしい清々しさと儒教的雰囲気を醸し出しています(講義時の明かり採りで、火災を恐れたため自然採光を重視しています)。
しかもこの講堂、昭和39年まで県立和気高校閑谷校舎の一部として利用されていました。
土台には水分による腐食を避けるために、赤土や貝殻を焼いた石灰に松脂(まつやに)や酒を混ぜた和風セメントを使い、屋根瓦には耐久性、耐水性に優れた備前焼を使っています。
艶光りする床も竣工以来、張り替えは、一切行なってないとのこと。
ちなみに国宝に指定される学校建築としては、文明開化を伝える擬洋風建築の代表作、旧開智学校(長野県松本市)があります。
旧閑谷学校講堂(国宝) | |
名称 | 旧閑谷学校講堂(国宝)/きゅうしずたにがっこうこうどう(こくほう) |
所在地 | 岡山県備前市閑谷784 |
関連HP | 特別史跡旧閑谷学校公式ホームページ |
電車・バスで | JR山陽本線吉永駅からタクシーで5分、JR赤穂線備前片上駅からタクシーで10分 |
ドライブで | 山陽自動車道備前ICから約8km |
駐車場 | 200台/無料 |
問い合わせ | 史跡受付 TEL:0869-67-1436/FAX:0869-67-1436 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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