日本銀行大阪支店

大阪市役所の向かい側に建つ明治36年築の美しい洋館で国の重要文化財に指定されるのが日本銀行大阪支店(旧館)。花崗岩を築き上げた石造りで、設計は東京駅などの設計で知られる辰野金吾とその後輩の葛西萬司(かさいまんじ)です。落成時に押し寄せた見物客は、石造りの重厚な建物に驚愕し、「石の家」と名付けたと伝えられます。

ベルギーの国立銀行がモデルの明治の銀行建築

明治36年は、辰野金吾と葛西万司が辰野葛西設計事務所を設立した年。
葛西萬司は日本銀行の技師だったこともあって、日本銀行大阪支店の設計に携わりました。

中央にドーム型の屋根をのせ、両脇に三角屋根(四角すい)を組み合わせた形はベルギー国立銀行をモデルにしたもの。
屋根が薄緑色に見えるのは、塗装ではなく銅板が酸化し緑青(ろくしょう)が出たため。

角柱と丸柱の混用した玄関部分のイオニア式柱頭飾りの重厚な装飾は、バロック調。
外壁は、建設当初はレンガ壁に花崗岩を積んだものでしたが、現在では改修されレンガ壁部分を鉄筋コンクリートに置き換えています(昭和55年~57年に大改修が行なわれています)。

少し汚れた感じがするのは、戦時中に空襲を避けるために塗られた薄墨のためだとか。

日本銀行大阪支店は、事前予約制(2週間前までに電話予約/日本銀行大阪支店営業課 TEL06-6206-7742)で無料で見学が可能。
新館の窓口エリア「営業室」、旧館内部の「記念室」や「展示コーナー」、1億円(模擬券)の重さの「体験コーナー」などを見学し、日本銀行の役割や業務を学ぶことができます(小学4年生以上が参加可能で、小学生は保護者または引率者の方の同伴が必要)。

江戸時代には島原藩大阪蔵屋敷があった場所で、明治初期には日本最初の郵便局である「郵便役所」が置かれていました。
日本銀行大阪支店が開設されたのは明治15年12月のこと。

日本銀行大阪支店
名称日本銀行大阪支店/にほんぎんこうおおさかしてん
所在地大阪府大阪市北区中之島2-1-45
関連HP日本銀行大阪支店公式ホームページ
電車・バスで地下鉄淀屋橋駅、京阪電車中之島線大江橋駅からすぐ。
ドライブで阪神高速道路環状線北浜ランプからすぐ
駐車場なし/周辺の有料駐車場を利用
問い合わせ日本銀行大阪支店 TEL:06-6202-1111(代表)/見学申込 TEL:06-6206-7742
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
水晶橋

水晶橋

大阪市の堂島川(旧淀川)に架かる美しい歩行者専用橋が水晶橋。もともとは橋ではなく、堂島川の水質改善を目的に築かれた堂島川可動堰(昭和4年完成)。河川浄化を目的として建設されたゲートでしたが、昭和57年に鉄筋コンクリートアーチ橋として生まれ変

淀屋橋

淀屋橋

大阪市北区の土佐堀川に架かる鉄筋コンクリート造りのアーチ橋が淀屋橋。大正10年〜昭和16年に行なわれた大阪の第一次都市計画の際、公募されたデザインの橋で、昭和10年完成、国の重要文化財に指定されています。御堂筋(国道25号)の橋で、地下には

大江橋

大江橋

大阪市北区の堂島川(旧淀川)に架かる鉄筋コンクリート造りのアーチ橋が大江橋。大正10年〜昭和16年に行なわれた大阪の第一次都市計画の際、公募されたデザインの橋で、昭和10年完成、国の重要文化財に指定されています。パリのセーヌ川の橋を参考にし

武雄温泉楼門

武雄温泉楼門

武雄温泉(佐賀県武雄市)の入口に建つ竜宮城を思わせる朱塗りの楼門。天平式楼門というクギを用いぬ建物は日本銀行本店、日本銀行大阪支店、東京駅、奈良ホテルなどと同じ辰野金吾の設計で大正4年築。国の重要文化財に指定されています。辰野金吾は、現在の

日本銀行本店

日本銀行本店

東京都中央区日本橋に建つ日本銀行本店本館は、明治29年2月29日竣工で辰野金吾(たつのきんご)設計の建物では現存する最古のもの。耐震性にも重きが置かれ、2階・3階は石積みレンガ造りの構造となっています。国の重要文化財に指定され、東京の建築遺

よく読まれている記事

こちらもどうぞ