音無井路円形分水

音無井路円形分水

大分県竹田市、大野川水系の大谷川を水源とする、「音無井路十二号分水」とも呼ばれる円形の分水施設が音無井路円形分水(おとなしいろえんけいぶんすい)。宮砥(みやど)周辺の灌漑用水として昭和9年に完成したもので、円筒に空いた20個の窓によって水を公平に分水するシステム。土木学会の近代土木遺産にも認定されています。

円筒分水で水利権争いを解消!

音無井路円形分水
四角い窓から水路の水がサイフォンの原理で湧き出しています

円形分水を築いたその発端は江戸時代から続いた水利権争い。
取水口から2kmに及ぶ暗渠(トンネル)の水路(音無井路)は明治25年に完成したものの、大正時代に入り、その上流で新たに2ヶ所の取水口ができたことで、当地が水不足に陥る事態が発生。

そこで周辺の村々へも公平・適切な水量調節が行なえるようにと、円形の分水施設が設けられることになったのです。

円筒状の分水路には、20もの小窓状の穴があり、サイフォンのようにわき上がってきた水が、小窓から外側の円形溝に流れ込むようになっています。
それを仕切板などで調節し、耕地面積に応じて(現状は5個、8個、7個に区分)3地区に配分するというシステム。

現在は石造からコンクリート造りになっていますが、近代土木遺産としても価値が高く、遠来の見学者も多い場所です。
大分むぎ焼酎二階堂のCM(『未知の力』編/平成18年)に白水ダム(白水溜池堰堤)、若宮井路笹無田石拱橋とともに使われて注目されるようになりました。

毎年4月10日頃には「水神祭」も開催されています。

ちなみに、大分では円形分水と呼ばれていますが土木工事分野では「円筒分水工」(えんとうぶんすいこう/circular tank diversion works)が正式名。
昭和9年頃から全国につくられています。
二ヶ領用水 久地円筒分水(神奈川県川崎市高津区)は有名。

音無井路円形分水
名称 音無井路円形分水/おとなしいろえんけいぶんすい
所在地 大分県竹田市九重野百木
関連HP 竹田市観光ツーリズム協会公式ホームページ
ドライブで 東九州自動車道大分光吉ICから約60.8km
駐車場 20台/無料
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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