「都心から一番近いローカル線」の流鉄流山線は、ICカード利用不可!

流鉄流山線

JR常磐線・各駅停車との乗り換え駅である馬橋駅(千葉県松戸市)と流山駅(流山市)を結ぶ、6駅、5.7kmというローカル私鉄が流鉄流山線。「都心から一番近いローカル線」というのは、流鉄自身の謳い文句で、週末の日帰り旅行には絶好。ただし、今もICカード利用不可というローカル度です。

ローカル私鉄を利用して歴史散策の旅も可能

明治29年12月25日、日本鉄道土浦線(現・常磐線)田端駅〜土浦駅間が開通し(当初は田端で上野方向にスイッチバックしていました)、松戸駅が新設され、明治31年、馬橋駅、そして明治44年に北小金駅が開業し、みりん産業で発展する流山の人々にも鉄道敷設の機運が高まります(松戸駅までは徒歩2時間、北小金駅までも歩けば1時間は必要でした)。

餅米の産地だった流山は白みりん発祥の地で、「醤油は野田、みりんは流山」と称されていました。
堀切家の「万上本みりん」(現在は流山キッコーマンが製造販売)、秋元家の「天晴本みりん」(現三菱商事ライフサイエンスが製造販売)が流山白みりんの元祖として知られています。

大正2年、みりん醸造などで発展する流山の有力者たちが流山軽便鉄道を設立、大正5年3月14日、ナローゲージ(軌間762mm)の軽便鉄道ながら、流山駅〜馬橋駅間が開通しています。
当初は、馬橋駅、大谷口駅(昭和28年廃止)、鰭ヶ崎駅、流山駅の4駅で、蒸気機関車2両と客車2両、貨車2両でした。
第一次世界大戦の大戦景気で輸送量も増加し、大正11年、流山鉄道に改称、大正13年には1067mmへ改軌して発展、戦後の昭和24年に電化が完了しています。
その後、流山電気鉄道(昭和26年)、流山電鉄(昭和42年)、総武流山電鉄(昭和46年)と目まぐるしく改称、平成20年に現在の流鉄となっています。

開通当初は、馬橋駅〜 中山駅(現・市川市)、流山駅〜 関宿駅(現・野田市)という壮大な計画もあり、実現時には東日本電鉄となる予定でしたが、実現していません。
平成17年8月24日、つくばエクスプレスが全線開業し、利用者が減少していますが、西武鉄道からの譲渡車(全車両が西武の新101系を転用したクモハ5000形・クモハ5100形の2両編成)にはそれぞれ「なの花」(黄色)、「若葉」(黄緑色)、「あかぎ」(臙脂色)、「流星」(水色)、「さくら」(ピンク)の名前が付けられ、それに合わせたカラーリングで、ローカル鉄道ムードを盛り上げています。

日中は1時間に3本の運転で、全線乗車でも所要は12分という小さな旅。
終点の流山駅は、今もレトロな駅舎が残され、「関東の駅百選」にも選定されています。

途中下車する場合には、「流山線一日フリー乗車券」の購入がおすすめで、電車の写真をあしらったカードタイプの乗車券(「都心から一番近いローカル線」と記されています)となっています。
途中の小金城址駅は、小金城(大谷口歴史公園)の最寄り駅で、終着駅の流山駅近くには近藤勇陣屋跡などがあり、歴史散策を楽しむことができます。

「都心から一番近いローカル線」の流鉄流山線は、ICカード利用不可!
所在地 千葉県流山市流山〜松戸市馬橋
関連HP 流鉄公式ホームページ
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
流山駅

流鉄流山線 流山駅

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小金城(大谷口歴史公園)

小金城(大谷口歴史公園)

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