滋賀県東近江市にある豪商の館を再生した資料館が近江商人郷土館。近江商人、丁子屋(ちょうじや)・小林吟右衛門(こばやしぎんうえもん)邸の主屋、隠居蔵などを公開し、小林家の商売に関する資料を展示。丁子屋は子供服や紳士用品の販売、ホテルギルモンド京都を運営するチョーギンの前身です。
幕末の激動期、彦根藩を支えた豪商の館
小林吟右衛門は、寛政10年(1798年)に始めた麻布の行商を皮切りに、織物卸、金融業を江戸・京・大坂で営んだ近江商人で、彦根藩主から苗字帯刀も許された彦根藩御用達の豪商です。
とくに幕末の激動期に台頭した近江商人で、天保2年(1831年)、江戸・日本橋堀留町(にほんばしほりどめちょう)に呉服太物問屋「丁子屋吟次郎」を開店。
続いて天保13年(1831年)には京の六角通柳馬場堀之上町に京店「丁子屋吟三郎」を開店しています。
嘉永6年6月(1853年7月)の黒船来航の知らせも江戸店から京店を経て本宅にもたらされ、安政7年3月3日(1860年3月24日)の桜田門外の変では、3日半で京店連絡が届いていますが、早駕で伝送した彦根藩よりも半日早く、近江商人の連絡網がいかに整備されていたかががよくわかります。
井伊直弼暗殺直後には、金が必要ということで「丁子屋吟次郎」は、1万5900両という大金を即座に彦根藩江戸藩邸に届けています。
近江商人郷土館の館内は、資料館と生活館に分かれ、資料館には丁子屋の小林吟右衛門から「丁吟(ちようぎん)」(商号)と呼ばれて商いを行なった小林家で使われた帳面類・看板など店の様子や商用具の展示、旅の道具などが展示。
座敷蔵などを利用した生活館では、当時の商人や家族、店員の生活を知ることができる道具類、古書籍が展示されています。
本来の商いから得る利益だけが真の利益だと信じ、投機や相場を禁じた堅実な近江商人の商売の方法や、その下で働いた使用人の生活の様子を垣間見ることができ、近江商人の繁栄の秘密の一端を知ることができます。
近江商人郷土館 | |
名称 | 近江商人郷土館/おうみしょうにんきょうどかん |
所在地 | 滋賀県東近江市小田苅町473 |
関連HP | 東近江市公式ホームページ |
電車・バスで | 近江鉄道八日市駅からタクシーで6分 |
ドライブで | 名神高速道路八日市ICから約5km |
駐車場 | 10台/無料 |
問い合わせ | 近江商人郷土館0749 45 0002 0749 45 3120 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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