琵琶湖に浮かぶ竹生島(ちくぶしま/滋賀県長浜市)にあり、神亀元年(724年)、聖武天皇が国内安穏、国家鎮護の祈りを込めて、行基に堂塔を建立させたのが始まりと伝わる古刹が宝厳寺(ほうごんじ)。本尊の大弁財天は厳島神社、江島神社と並び日本三大弁天の一つ。観音堂には千手観音が安置され、西国三十三所第30番札所にもなっています。
江戸時代までは神仏習合で観音信仰と弁財天信仰の信者であふれた
開山以来天皇の訪問はもちろん、空海(弘法大師)や最澄(伝教大師)も竹生島に渡って修行を積んだといわれています。
平安時代末期以降は西国三十三所の観音信仰と弁財天信仰の島として、多くの信者をあつめるようになっています。
貞永元年(1232年)、享徳3年(1454年)、永禄元年(1558年)など度重なる大火で堂宇を焼失し、現存するものは永禄元年(1558年)の大火後の慶長7年(1602年)に豊臣秀頼が片桐且元(かたぎりかつもと)に命じて復興したもので、豊国廟の一部を移築したものと伝えられています。
豊国廟正門(極楽門)を移築した唐門は国宝
竹生島はもともと神仏混淆の島でしたが明治元年に発布された神仏分離令により、大津県庁から宝厳寺の廃寺が申し渡されます。
しかし、近江を代表する名刹で多くの信者のあった寺は、廃寺を免れ、本堂の建物のみを都久夫須麻神社(つくぶすまじんじゃ/竹生島神社)に分離し、存続したのです。
以来、仮安置の状態が続いた大弁財天は、昭和17年の本堂完成で今は新本堂に安置されています。
宝厳寺観音堂と都久夫須麻神社本殿は渡廊で直接連絡されているのは神仏混淆時代の名残り。
都久夫須麻神社(竹生島神社)に続く船廊下は秀吉の御座船を利用したという伝承が名の由来で、国の重要文化財。
京・東山の豊国廟正門(極楽門)を移築した唐門は国宝になっています。
西国三十三所観音霊場第30番札所で、本尊の千手観音立像(秘仏/鎌倉時代/開扉は原則として60年に一度)を安置する観音堂は懸造(かけづくり)で、国の重要文化財に指定されています。
本堂(弁財天堂)は、昭和17年、三重塔は平成12年の再建。
西国三十三所霊場間の距離・時間
29番・青葉山松尾寺(京都府舞鶴市松尾532) — (70kmで琵琶湖湖畔・長浜港/1時間30分の長浜港から琵琶湖汽船30分) — 30番・竹生島宝厳寺(滋賀県東浅井郡びわ町早崎竹生島1664) — (竹生島から遊覧船30分の長浜港から37km/1時間) — 31番・姨綺耶山長命寺(滋賀県近江八幡市長命寺町157)
※距離と時間はルートや交通状況により変動するため、およその目安です
宝厳寺 | |
名称 | 宝厳寺/ほうごんじ |
所在地 | 滋賀県長浜市早崎町竹生島1664 |
関連HP | 宝厳寺公式ホームページ |
電車・バスで | 長浜港から琵琶湖汽船で30分、今津港から琵琶湖汽船で25分、彦根港からオーミマリンで45分 |
ドライブで | 北陸自動車道路長浜ICから約5kmで長浜港。名神高速道路京都東ICから約54kmで今津港、彦根ICから約4.5kmで彦根港 |
駐車場 | 彦根港(50台/無料)、長浜港公共駐車場(30台/無料)、今津港琵琶湖汽船専用駐車場(40台/無料) |
問い合わせ | 宝厳寺 TEL:0749-63-4410 |
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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